中日「お前が」騒動大炎上の背景  在京球団元応援団長が指摘

2019年07月05日 11時00分

浮かない表情の与田監督

 中日の公式応援団が応援歌「サウスポー」使用を自粛すると発表した問題が、大きな波紋を呼んでいる。中日・与田剛監督(53)が「お前が打たなきゃ誰が打つ」の「お前」の部分を疑問視し、球団を通じて歌詞の変更を要請。これが「言葉狩りだ」などと大炎上してしまった。果たして今回の騒動にはどんな背景があり、どう収束していくのか。在京球団の元応援団長・X氏は本紙に緊急声明を寄せた。

 中日の公式応援団が「サウスポー」自粛を発表したのが1日のこと。以降、ワイドショーなどではこの問題の是非について盛んに議論が交わされ、与田監督が「教育上好ましくない」と発言したことについても、「お前」の語源はそうではない、じゃあ語源のいい「きさま(貴様)」ならいいのかなどと、とんでもないところにまでヒートアップしている。当の与田監督は「不本意な方向にいっている」と戸惑いを隠せないでいるが、騒動のもう一方の当事者ともいえる応援団は今回の騒動をどう受け止めているのか。かつて在京球団で応援団長を務めたX氏によると「今回の騒動の背景には、2002年から始まる応援団問題があるんです」という。

 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)を受け、球界が本格的に「応援団のクリーン化」に動きだしたのが02年のこと。12球団は球場から暴力団構成員ら、いわゆる「反社会的勢力」の徹底排除を目指した。

「なかでも問題視されたのが中日の応援団でした。今では『反社』は一掃されて12球団すべてクリーンな応援団となりましたが、中日にはその時のトラウマがいまだに強く残っているんだと思います。その影響もあり、中日球団と応援団の関係はクリーンとはいっても健全な関係ではないのかな、という気がします」

 どういうことか。

「応援団が完全に球団の言いなりになってしまっている。応援団はファンの代弁者であるべきで、球団とファンをつなぐ役目を担わなければいけません。球団から『歌詞の変更』を要請されたら、まず聞かなければいけないのは『ファンの意見』です。ですが、現在の応援団は球団の言うことを聞かないと球場から排除されてしまいますし、球団の許可をもらわないと、メディアにコメントすることもできません。健全な関係ではないと思います」

 ではどうするべきなのか。

「まずは球場に来ているお客さんの意見を聞くことが第一。もう結果は分かり切っているかもしれませんが、たとえば7月中にナゴヤドームのお客さんにアンケートを取って『お客さんの意見はこうですよ』と球団に伝えるべきです。そこで球団側と話をできる環境をつくらなければいけない。そもそも、今回の一件だって、与田監督が何の気なしに漏らした一言を、球団が過剰に反応して応援団に伝え、応援団も過敏に反応してしまっただけではないのか。それでも応援団の本来の在り方を考えるという意味では、大きな騒動になった今がチャンスかと思います」

 そして今後の中日応援団に望むことは何か。

「応援団経験者としては、ならばオリジナルのチャンステーマを作ろう、という方向に意識を向けてほしいですけどね。それでも応援団が球団の顔色を気にして動けないというのなら、私がナゴヤドームで内野席のファンをリードしながら『サウスポー』を歌いますよ」

 今回の騒動は、時間が経過すれば自然と沈静化していくのか、それとも…。