「マイナビオールスターゲーム2019」(12日・東京ドーム、13日・甲子園球場)の監督推薦選手が1日に発表され、7年ぶりの出場となる阪神・藤川球児投手(38)らが選出された。藤川は通算9度目で、米球界を経て2016年に阪神に復帰してからは初めての選出。9日に両リーグの「最後の一人」を決めるプラスワン投票の結果が発表され全出場選手が出揃う。

 チームメートの青柳とともに選出された藤川は「(メジャー挑戦を経て)独立リーグから阪神に帰ってきて『もう無理なんじゃない?』と冗談半分に言われながら、プレーで体現し、結果として監督推薦で選出してもらえたことは光栄」と胸を張った。

 今季ここまで28試合に登板し、防御率1・26。全盛期を思わせる圧倒的な成績でセットアッパーとして君臨し、連投やイニングまたぎもいとわない。その働きはマウンド以外にも及んでおり、今季急成長中の若手中継ぎ左腕・島本は「救援のマウンドに向かう時、ブルペンにいる投手全員がグータッチで送り出してくれる習慣があるのですが、その時に藤川さんは必ず、戦況を見極めた上で『先頭打者だけは塁に出すなよ』とか『あの打者は一発があるから警戒しろ』といったアドバイスをしてくれます。ブルペンのキャプテンのような存在。本当に頼もしいです」と明かす。

 若手中継ぎ右腕の守屋も“グータッチ出陣式”の際に藤川から「続き球に気をつけろ」とアドバイスされたという。勝ち試合の救援では一球の失投が致命傷になりかねない。大先輩からの説得力のある指導に「同じコースに同じ球を投げる時、少しでも内へ甘く入ると痛打されてしまう」との意識も高まった。

 何もグータッチは巨人・原監督の専売特許ではない。チームはリーグ戦再開後、中日に手痛い連敗を喫して借金生活に突入したが“火の玉”の宿る藤川の熱い拳が味方の闘志を鼓舞し、その背中を力強く押す。