竜に“福の神”が降臨だ。中日が30日、ナゴヤドームでの阪神戦に延長11回の末、待望の今季初のサヨナラ勝ち。連勝も今季最多の5まで伸ばした。

 先発の柳はハーラー単独トップの9勝目こそお預けとなったが、8回4安打無失点の快投を披露。救援陣も無失点リレーで、期待に応え、最後は相手守護神ドリスの暴投で勝利をつかんだ。

 今季12球団最遅で、就任後初めてのサヨナラ勝利を経験した与田監督は「興奮している。9回の裏から勝たしてくれ、サヨナラ勝ちにさせてくれと、ドームだけど、天を仰いで心の中で一人でずーっと祈っていた。選手がよく頑張ってくれました」と目尻を下げて喜んだ。

 チーム内では今季初のサヨナラ勝利をもたらした要因の一つとして、延長11回に4番手で登板し、3年ぶりにプロ2勝目をマークした福敬登(27)の神通力のおかげではともっぱらだ。

 ある選手は「やっぱり福は何か縁起のいいものを持っているのでは。あの苦しい場面(二死三塁)をゼロで抑えて帰ってきて、今季初のサヨナラ勝ちがあっさりと決まってしまうなんて」と驚きを隠せない。

 実際、福によると「高校時代に体育福祉コースを専攻していたんですけど、授業の一環で老人ホームを訪問したことがあったんです。その際、おじいさん、おばあさんから『福が来た』と体を触られたり、拝まれたりしたことがありました」という。

 プロ初のお立ち台に上がった4年目左腕は「高校時代からずっと縁起がいいと言われてきたので。名前のおかげです。チーム内でも? そう思われてるならうれしいですね。サヨナラ勝ちの一つのピースになれてよかった。これからも名前にあやかれれば」と苦笑した。

 左肩の故障で一度は育成契約となったが、再び支配下として這い上がった。勝ちゲームのリリーバーとして福の頑張りが今後も竜に福をもたらしてくれそうだ。