巨人が30日のヤクルト戦(秋田)に4―3で競り勝ち、貯金を今季最多の10とした。ヒーローは決勝打を放った坂本勇だったが、気がかりなのは先発したC・C・メルセデス(25)の状態だ。序盤から球数がかさみ、4回104球でマウンドを降りた。これで6戦連続の“早期降板”となり、5人の救援陣をつぎ込むハメに。首位固めに必要な戦力だけにチーム内部からは「肉体改造指令」も飛び出している。

 両軍とも決め手を欠いた試合に終止符を打ったのは、主将のひと振りだった。坂本勇は3―3の9回二死一塁、石山から右翼フェンスを直撃する決勝の適時二塁打。若き守護神・中川も最少リードを守り切り、節目の10セーブ目をマークした。

 交流戦で不調に陥り、打率3割4分から2割台まで急降下した背番号6も復調気配だ。前夜の14試合ぶりの一発に続き、この日は1か月ぶりの1試合3安打。「(一塁から)亀井さんがかえってきてくれたんで、最高の結果になって良かったです」と笑顔を見せ、原監督も「いい感じで出てくるようになりましたね。やっぱり最後のヘッドが利いているよね」と目を細めた。

 これで貯金を2桁の大台に乗せたが、どうにも引っかかるのはメルセデスだ。立ち上がりからツバメ打線に粘られ、初回だけで34球。その後もピリッとせず、相手の拙攻にも助けられて4回まで10安打を浴びながら2失点でこらえるも、チームにリズムを呼び込めず、早々と交代を告げられた。本人も「球数が多くて、最低限のイニングを投げることができなかった。もっと長いイニングを投げたかったので申し訳ない」と反省の弁を並べるしかなかった。

 不慣れな地方球場とはいえ、4回途中で降板した5月25日の広島戦(東京ドーム)から、指揮官が先発投手の責任投球回と位置づける「6回」を投げ切ることなくマウンドを譲っている。そのしわ寄せでブルペンは澤村、田口、野上、大竹、中川の5人を投入せざるを得なくなった。苦戦続きの左腕に指揮官も「何ていうか、球速もコントロールもという部分でまだ本来(の調子)ではないような気がしますね」と表情を曇らせる。

 支配下登録を勝ち取った昨年7月から5勝(4敗)、防御率2・05と活躍したことに比べれば、今季5勝4敗、同3・72は物足りない成績だ。復調のカギはどこにあるのか?

 チームスタッフは「CC(メルセデスの呼称)が来日した時から気になっていたけど、体がひと回り大きくなったよね。体にキレが感じられないし、直球も走っていない。直球が走らなければ、CC特有の打者の手元でカット気味に変化する“真っスラ”や他の変化球も生きてこない。体のキレを取り戻すために、もう一度走り込みとかをする必要があるのでは」と“モデルチェンジ”を唱えた。

 宮本投手総合コーチはメルセデスを菅野、山口、桜井とともに「四輪駆動」と例え、厚い信頼を置いているが…。左腕もチーム内からの声に耳を傾ける必要がありそうだ。