阪神が30日の中日戦(ナゴヤドーム)を延長戦の末、0―1で落とし5月2日以来の借金生活に突入した。延長11回、守護神・ドリスの暴投でサヨナラ負け。我慢の起用を続けてきたドラフト1位・近本に代打を出すなど、勝利への執念を見せた矢野燿大監督(50)は「ゼロでは勝てない。一番点が取れると思ったことを選択したが…。ドリスはしょうがない。勝負にいっているんだから」と肩を落とした。

 借金生活になったこれからが正念場となるが、チームはあえて“笑顔野球”を貫くという。

「借金になった途端にあれこれ文句を言ってくる人はいる。それでも今の野球を変えては元も子もない。監督もよく言うが、しんどいからこそ笑顔を見せていくことが大事」(球団関係者)

 今季の阪神は指揮官自らが拳を高々と上げて喜びを表現する“矢野ガッツ”を筆頭に、ナインも安打で出塁した際には塁上でベンチに向かってガッツポーズをするなど喜怒哀楽を前面に押し出す野球で、若手選手の力を引き出し、最大6にまで貯金を増やした。

 その間も一部の評論家や球団OBからは不評を買っていて、阪神元監督の野村克也氏からも「大反対!」とダメ出しを受けていた。これが借金生活となれば外野から「勝てないのに何やっているんだ!」といった否定的な意見が増えることは間違いない。

 黙々とプレーすることでそうした雑音をシャットアウトすることもできるが、矢野監督が「高校野球と言われても構わない。俺にしかできないこともある」と周囲に話しているように窮地だからこそ、信念を変えずチームとしてこの方針を徹底していくという。

 2日からは相性のいいDeNAとの3連戦だが、笑顔野球でV字回復なるか。