逆襲のキーワードは「サヨナラ勝ち」――。借金8のリーグ5位に低迷している中日・与田剛監督(53)は、リーグ戦再開へ向けて「ウチはサヨナラ勝ちがないんでね。ワンチャンスをものにできるようになったら、必ず浮上できる」と鼻息を荒くしている。

 今季は6度のサヨナラを含む16度の逆転負けを喫しているのに対して、サヨナラ勝ちは一度もない。特に15勝18敗の本拠地ナゴヤドームでは、7回終了時点で1点ビハインドの試合は6戦6敗、2点ビハインドでは3戦3敗と惜敗のオンパレードだ。同点で7回を終えたケースでも1勝2敗と競り負けている。チーム内には「紙一重だけど、ウチがどれだけあと一本に泣いているかということ。交流戦明けからは何とか粘りを発揮しないと、このままズルズルいってしまう」(関係者)との危機感もある。

 中日は29日からの阪神2連戦(ナゴヤドーム)でリーグ戦を再開させ、7月2日からの東京ドームでの巨人3連戦後は、球宴の前後にホームで9試合(浜松、豊橋を含む)が組まれている。別の関係者は指揮官の“サヨナラ勝ち願望”を「これだけ本拠地の試合が続くわけだし、劣勢の状況でも最後まで諦めるなというメッセージだと思う」と受け止めているという。

 与田監督は「僕らは紙一重の中でやっている。優勝争いを毎年するチームは、その戦力の中であと1本が出る確率が高い」とも訴える。今季は12球団でサヨナラ勝ちがないのは中日だけ。先行逃げ切りも大事だが、与田竜に必要なのは勢いだ。