【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】2017年6月28日、西武・森慎二投手コーチは42歳という若さでこの世を去った。突然の訃報からちょうど2年。現役時代だけでなく、コーチとしても同じユニホームで戦った黒田哲史内野守備走塁コーチ(44)は、今でも亡き同い年の親友へメッセージを送っているという。

 2人は埼玉・所沢にある西武の若獅子寮でも寝食をともにした大の親友だった。「友人以上、家族未満。基本的に野球の話はしないのに不思議と性格が合った。遠征先でもどこに行くのも一緒。食べたいものも、行きたい場所も不思議と一緒」

 それだけに突然、親友が他界してしまった寂しさは計り知れない。黒田コーチは今でもスマホを手に、森さんが生前に使用していたLINEのIDにメッセージを送っているという。

「今でもLINEしてますよ。悩んだりとか、自分のグチとかね。日記みたいな感じですかね」

 もちろん返事は返ってはこない。だが、LINEのメッセージは森さん宛てに飛んでいく。「既読にはならないですけどね。去年は優勝報告もしました。僕は向こうの世界には行ったことないけど、もしかしたら見守ってくれているかな」と現在も近況を送り続けている。

 なにも悲しみに浸り続けているわけではない。黒田コーチは親友の死を受け入れつつ、前へ進む原動力にしようと意識している。

「体がキツイなとか、ふと思ったとき、慎二はもっとグラウンドに立ちたかったはずだから、こんなこと言ってちゃあかんなと考える。慎二やその家族のことを思うとちゃんとしようと思う。小さい子供を3人も残して逝きましたからね」

 27日現在、西武は首位ソフトバンクと2・5ゲーム差の3位。昨年はリーグ優勝しながら日本シリーズ進出を逃した。この秋には黒田コーチから森さんに日本一報告のLINEが飛んでいくのか――。リーグ戦再開後の西武の戦いからも目が離せない。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。