ソフトバンクに“キューバ危機”

2019年06月28日 16時30分

キューバが熱視線を送るモイネロとグラシアル(右)

 G20大阪サミットが世界中の注目を集めるなかで、ひそかにソフトバンクが“キューバ危機”に直面していた。

 7月末にペルーで開催される4年に1度のパンアメリカン大会には、すでにキューバ代表としてグラシアルの出場が決まっている。打率3割3分5厘、16本塁打、33打点でクリーンアップの一角を担う強打者の離脱はチームにとって痛手だが、入団時の契約に国際大会への参加を認める条項があるようで、こればかりはどうにもならない。

 ソフトバンクが困っているのは、それに加えて左のセットアッパーであるモイネロにもオファーがきたからだ。ある球団フロントは「向こうはモイネロを代表に招集したいと言ってきている。グラシアルがいなくなる上にモイネロもとなれば痛すぎる。何としてでも残さないといけないが…」と渋い表情で話す。

 キューバが“追加オーダー”してきたのは何が何でも勝つためだ。今大会は12年ぶりに野球が復活する来年の東京五輪のプレ予選も兼ねており、交渉でもキューバの本気度がヒシヒシと伝わってきているという。

 ソフトバンクには4人のキューバ選手が在籍しているが、国際大会への参加に関する契約条項は様々だという。グラシアルと違ってデスパイネは招集されない契約だが、若く育成選手としての入団だったモイネロ、コラスは代表チームへの参加に関して何も取り決めがない状態のようだ。

 つまり頑として突っぱねることもできるが、それでは今後のキューバとの関係が冷え込む危険性がある。「今はうちに在籍している選手だが、良好な関係を築いて4人も選手を出してもらっているところもある。キューバには特殊な事情もある。強いチームをつくりたいのは分かる。難しいところ」と球団関係者も頭を抱えるしかない。

 今季のモイネロは33試合に登板して防御率1・11。主力が不在で若手中心の中継ぎ陣を支えている。最大で夏場に1か月近くも不在となれば大ピンチ。穏便に決着をつけられるか、フロント陣の“政治力”に注目が集まる。