巨人が勝てば5年ぶりの交流戦優勝が決まるソフトバンク戦(東京ドーム)に1―5で完敗を喫した。誤算だったのは菅野智之投手(29)で、プロ入り最短となる1回0/3、4失点(自責2)KO。原辰徳監督(60)は背信投球に怒りを隠さなかったが、肝心なのはエースをどう復活させるかだ。だましだましか、ファーム再々調整か。難しい2択のはざまで揺れている。

 試合開始早々、指揮官の堪忍袋の緒が切れた。初回、福田に先頭打者本塁打を浴びた後も2四球を与えるなど安定せず、失策絡みの計3安打で4失点。2回も先頭打者だった投手の和田をこの日3個目の四球で歩かせ、原監督の我慢も限界を超えた。結局、初回の失点が重くのしかかり、5カード連続で勝ち越してきた交流戦の頂上対決はエースの乱調で“V逸”となった。

 試合後、報道陣に応対した指揮官の言葉には今季最大級の怒りがこもった。

「この一戦にかけるという部分から考えるならば、あそこは(交代せずに)引きずることの方がはるかにおかしいことだと思うね、僕は。先頭バッターにホームラン、それでフォアボール、フォアボール。リズムもヘッタクレもあったもんじゃないですね。(坂本勇の)エラーも絡んではいるけどもね。立ち直りを期待したけれども、ピッチャー(和田)に対してフォアボール。みんなで積み上げてここまで交流戦の優勝戦という形に持ち込んでいるわけですから。一人の選手だけに任せるというわけにはいかないね」

 厳しい言葉で断罪すると「智之の件はこのぐらいでいいんじゃないですか?」と、菅野に関する質問を自らシャットアウトした。

 当の本人はチームやファンへの謝罪を口にした上で「僕の実力。結果として受け止めて何とか打開していかないといけない」と顔を上げたが、前回16日の日本ハム戦(札幌ドーム)でも初回3失点。5月下旬に痛めた腰が完治しないなかで一軍に帯同し続けるべきなのか――。幸いにも29日のリーグ戦再開まで5日間の猶予はあるが、チーム内でも意見が分かれるところだ。

 宮本投手総合コーチはリーグ戦再開後、菅野を先発ローテのカード初戦に組み込むことを“基本線”としながら「水曜日(26日)にゆっくり話し合おうかなと。何か(異変が)起こっているかもしれないし」と再抹消の可能性にも含みを持たせた。そんななかチームスタッフからは「智之はエースの責任と内容と結果、腰のことまで抱え込んで、自分へのイラ立ちが周囲にまで伝わってしまっている。今のウチの投手陣は若い選手も多く、余計な神経を使わせるのは本意ではないのでは? オールスター明けの後半戦からでもいい。可能な限り完治に近づけて、平常心で戻ってきてくれた方がありがたいかな」との声も噴出している。

 チームは貯金8で広島に1・5差をつけて首位に立つ。7月2日からは9連戦を控え、エースの力が必要なところではあるが…。菅野、そして首脳陣はどんな決断を下すのか。