巨人は18日のオリックス戦(東京ドーム)に4―3で競り勝ち、3連勝としてセ・リーグ単独首位に浮上した。この日から残す交流戦はすべて本拠地開催で、DH制は前カードまでで終了。指名打者として先発出場していた阿部慎之助捕手(40)は再び代打の切り札としてベンチ待機となったが、4年ぶりに戻ったはずの捕手としての出場は今季まだない。今後、就く可能性はあるのか――。

 何とか振り切った。12球団屈指の防御率を誇る山本から、丸と岡本の一発で3回までに3点を先制。しかし、3―1の8回から3番手で送り込んだマシソンが右足の異常を訴えて緊急降板し、後続の救援陣が同点とされた。それでも、直後の攻撃で代打・陽岱鋼が右越えに勝ち越し打を放ち、最後は中川が最少リードを守り抜いた。

 原監督は殊勲打の陽岱鋼を「右に強い打球、彼のいいところがひと振りで出ましたね」とたたえた。

“鬼門”とされてきた交流戦も、9勝4敗で首位のソフトバンクとゲーム差なしの2位をキープ。この日からの6連戦は東京ドーム開催でDH制は採用されない。パ本拠地では恐怖の指名打者として先発出場していた阿部はどうなりそうか。吉村打撃総合コーチは「一番大事な場面がメインになってくるね」とし、代打の切り札として待機する見込みだ。

 となると、阿部が代打から守備に就くケースもあるだろう。今季は代打に専念するチーム方針だったが、すでに一塁を3度守っている。自ら直訴した捕手復帰の可能性はなくなってしまったのか…。

 阿部が実戦でマスクをかぶったのは2月26日の練習試合での3イニングが最後。その後はコンディションが整わず、開幕前には指揮官が「慎之助はピンチヒッター。捕手というポジションは今のところ考えていません」と断じていた。

 ただ、阿部本人は“本職復帰”をあきらめたわけではない。開幕直後は「キャッチャーをナメてたね。『何でこんなこともできねえんだ!』って思ったし」と、自分へのイラ立ちを吐き出したこともあったが、ゴールデンウイーク明けから捕手の防具もつけ、自分の体と相談しながら練習を再開。「1イニングでも2イニングでも、行けと言われたところで行けるように頑張るよ」と徐々に強度も上げ、この日の試合前は捕手特有の動きに加えて約60メートルのキャッチボールも行った。相川バッテリーコーチは「まだだね」としたが、着実に前進している。

 それでなくても、捕手目線で助言を送る阿部の存在はやはり絶大だ。この日はイニング間のベンチで6回1失点(自責0)と粘投した今村をサポート。左腕は「ゲキを飛ばしていただきました。この球で攻めればいいんだよと」と感謝しきりだった。

 このまま順調にいけば、背番号10が久しぶりのマスク姿を披露する日もやって来そうだ。果たして“Xデー”はいつ訪れるのか。