阪神が16日のオリックス戦(京セラ)に延長12回、5―5で引き分けた。最大で5点あったビハインドを9回二死から福留の2点適時二塁打で追いつき、3連敗中の重苦しい空気を払拭した。

 陰のヒーローは6回以降の7イニングを7投手の総動員リレーで0点に封じきった救援投手陣だ。島本、守屋らの若手が踏ん張れば、大ベテランの藤川も3連投となる中、2つの三振を奪う熱投。最後は勝利の可能性が消滅した12回を、3年目右腕の浜地が三者凡退に抑え、チームを4連敗の危機から救った。矢野監督も試合後「すごく疲れている中、皆良くやってくれた」と感謝の言葉を口にした。

 チーム打率、チーム本塁打数ともにセ・5位と打力に乏しい阪神にとって、鉄壁の救援陣の存在はなくてはならない生命線だが、その裏にはブルペンを預かる金村投手コーチらを中心としたスタッフ陣の“必死のケア態勢”がある。

 すでにチームの投手練習では練習量を大幅に減らしているそうで「シーズンが始まれば、投手陣にとって大切なのは鍛えることより“維持”すること。投げる力自体は実戦の場で自然と身についてくる。チーム内には理学療法士を巡回させ、肩の可動域に異常が起きてないか、こまめにチェックさせている」(金村コーチ)。

 その上で「(藤川、能見ら)ベテラン陣は調整の仕方をよく分かっているが若手投手はケアを怠ったり、マッサージ等を受けることを遠慮してしまう傾向がある。だがそれはチームのために絶対にあってはならないことだし、許されることではない。長いシーズンを戦っていくためにもしっかりケアはしてもらう」と金村コーチはブルペン陣のコンディション維持に心血を注いでいる。

 今季すでに28試合に登板している守屋もプライベートで「酸素カプセルを使うようにしています」と語るなど、心身のケアに気を配っている。17日は試合はなく移動日。つかの間のオフこそゆっくりと休み、次なる戦いに備えてほしいところだ。