巨人・炭谷「打てる捕手」を実践 古巣・西武に強烈“お礼参り”

2019年06月14日 16時30分

古巣から3ランを放った炭谷はガッツポーズ

 巨人・炭谷銀仁朗捕手(31)が13日の古巣・西武戦(メットライフ)で痛烈な“恩返し弾”を見舞い8—2の勝利に貢献。チームは3カード連続勝ち越しとなった。スタメン出場した2試合で計6打数2安打5打点と爆発した炭谷は持ち味の守備でも投手に寄り添う冷静な好リードを連発。相手主戦捕手・森にインサイドワークで格の違いを見せつけ、その打棒も2戦6打数無安打と封じた。“里帰り”を歓迎していた西武ファンも沈黙させる痛烈な古巣凱旋だった。

 4回、歓迎ムードだった前本拠地が凍りつく強烈な中押しの“恩返し3ラン”だった。

 西武・辻監督が「あの3点、あれがなかったらまだ分からなかった。あれがすべて」と嘆いた先発・郭の初球143キロの失投を完璧に打ち抜いた一発。炭谷は「待ってましたよ。(初球)真っすぐだったらいこうと思っていた。二死からだったので、何とか追加点が欲しいと思っていた。うれしかったです」と郭の特徴、森のリードを予測した上で放った凱旋弾を振り返った。

 受けては先発・桜井を7回4安打1失点と西武重量打線に仕事をさせず。「桜井がきっちり投げてくれて、リードしてる方としても楽でしたし、ナイスピッチングだったと思います。絶対勝ち越されないようにと思ってやってました。ライオンズを相手にして、いいところを見せられて良かったと思います」と要求に応えた右腕をたたえた。

 その炭谷には捕手として強烈なプライドがある。昨オフ、悩み抜いた末に13年間在籍した西武から巨人へのFA移籍を決断。直後、今年1月の自主トレでは昨今もてはやされる軽い論調の「打てる捕手」に対する不満をこう吐き出していた。

「打てるキャッチャーって何なんですかね? ボクはそういうメディアの取り上げ方に反対ですよ。ただ打てばいいんですか? 確かに、打てるに越したことはないけども、それはしっかり守れた上でのことじゃないですか。キャッチャーの良さをまったく分かってない」

 それは当然、愛着のある西武退団を決断せざるを得なかった直接の原因「打てる捕手」森友哉への強烈なライバル心の裏返しでもあった。

 昨年、西武はチーム方針もあり捕手の起用法を「森の主戦育成」へとシフト。これにより出場機会が激減した炭谷だがスタメンマスクをかぶった41試合では防御率3・53と安定感を見せ、74試合で同4・54の森を凌駕。また森の売りである打撃でもそれを上回る得点圏打率をマークしたが、もはや動かせぬ方針となっていた「主戦捕手・森」という状況を打破することはできなかった。

 オフの残留交渉では西武側から再三「将来の指導者としての保証」を提示され慰留されたが、炭谷に「森のバックアップ」に甘んじる考えはなく「正捕手争いをさせてもらえる環境」だけを求めて巨人移籍を選択した。

 そして古巣凱旋2試合で示したのは捕手としての価値そのもの。この試合でも4、5、7回の失点場面で森がなす術なく本塁後方でぼうぜんと状況を見守っていたのに対し炭谷は、ピンチの気配を察知するやすかさずマウンドへ駆け寄り先発・桜井を励まし、間を取りその芽を摘んでいた。

「マウンドで投手を孤立させない」

 この捕手の本分を忠実に実戦し気配り、目配り…。投手のケアを一瞬たりとも怠ることはなかった。

 その上で4回には試合を決める3号3ランを西武ファンの陣取るレフトスタンド中段へと叩き込み、森のお株を奪うあるべき「打てる捕手」を実践してみせた。愛着のある西武を去るしかなかった炭谷が古巣に贈った痛烈な恩返し、いや“お礼参り”だった。