中日の9年目左腕・大野雄大投手(30)の三振と四球への意識改革が着々と進んでいる。

 10日現在、10試合に登板して3勝4敗、防御率2・99ながら、奪三振率は9・58とリーグトップを誇り、奪三振(77個)を与四球(18個)で割った「K/BB」は4・28でリーグ2位(1位は広島・大瀬良6・82)。「K/BB」は味方の打線や守備、球場の大きさなどの影響に左右されず、投手の個人能力である制球力を示す指標で、3・5を超えると優秀とされる。

 昨季未勝利に終わったように、これまでの大野雄の投球は不安定そのものだった。過去に「K/BB」が3・5を上回ったことは一度もないばかりか、キャリアハイの11勝(10敗)を挙げた2015年の3・28を除けば、すべて3・00以下だ。それが今季は「K/BBという指標があるでしょ。三振も四球も意識している」とすっかり別人になっている。

 きっかけは昨秋のキャンプ中にデータ分析をしている専門家からボールの回転数、回転軸、変化などを測定するトラックマン(弾道測定機器)の講義を受けたことだ。「やっぱり投手は三振が取れるのが一番いい。アウトの割合の勉強をした時にそう学んだ。それで自分の中で変わった部分がある。それが三振の多さにつながっていると思う。(目指すは)完全アウトです」

 詰まらせても野手のいないところへ飛んで安打になったり、打たせて取ってもエラーになるケースもあるだけに、三振のアウトはリスクが少なく、四球も少なければ、試合が崩れにくいというわけだ。12日のオリックス戦(京セラドーム)に登板予定の左腕は「無駄な四球からの無駄球は極力なくそうと思っているし、そんなに今年は四死球は多くないと思う。このまま球数減らして、1年間通じてやっていければ」。安定感抜群のニュー大野雄の投球から目が離せない。