広島が4日の西武戦(メットライフ)に延長12回、4―5で今季初のサヨナラ負け。交流戦黒星発進で令和初の連敗を喫した。4時間24分の熱戦に敗れた緒方監督は、疲れの色を浮かべて「タフな試合になったね」。序盤の4点差を追いついた打線の粘りと救援陣の踏ん張りを評価しつつ「しっかり戦えているが、最後に接戦をものにしていけるようにしないといけない」と手綱を締め直した。

 先発は前回4回途中6失点でローテーション崖っ縁の野村。意外だったのは女房役にこれまでの会沢ではなく、磯村嘉孝捕手(26)を起用したことだ。高ヘッドコーチによれば「(野村の)気分を変えてみようかと」との意図だった。

 野村は6回6安打4失点。3回以降は無失点と立ち直っただけに新バッテリーの評価は微妙なところだが、打撃では磯村が抜てきに応えた。4回一死二塁の第2打席は右翼線を破る適時二塁打で田中広の同点打を呼び込んだ。6回の第3打席にもバックスクリーンまであと一歩の中越え二塁打を放ち、野村降板後の7回守備から会沢にマスクを譲った。

 広島は現在捕手4人制を敷く。坂倉は代打要員&控え捕手だが、ベテランの石原がジョンソン、磯村が若い山口に加え野村の相手を務めるとなると、正捕手の会沢は週の半分しか先発マスクをかぶらないことになる。「アツ(会沢)を壊さないため」との声もあるが、球界屈指の打てる捕手を“温存”できるのだから、捕手不足に悩む他球団にはうらやましい限りだろう。

 野村とのコンビを振り返って「(配球面で)自分の色を出していこうと。ただ4点取られてしまったので次にチャンスがあればゼロに抑えたい」と反省した磯村だったが、2安打で打率は4割2分5厘に上昇。「DHで使おうか」という東出打撃コーチの言葉も冗談には聞こえない。セ王者の広島が捕手層の厚さを見せつけ、敗れても強しを印象付けた。