巨人が31日の中日戦(東京ドーム)に3―7で敗れ、3連敗を喫した。投打に精彩を欠くなか、この日、原辰徳監督(60)は大きな決断に踏み切った。不調続きだった中島の出場選手登録を抹消し、二軍で目立った結果を残せなかった新助っ人のビヤヌエバを昇格。投手部門のテコ入れとして、三沢投手コーチをファームから一軍に配置転換させた。再浮上を目指して繰り広げられたドタバタ劇の波紋が広がっている。

 阪神に連敗し、30日時点で首位・広島に4・5差をつけられた原巨人が大きく動いた。まずは中島だ。オリックスを自由契約となり、指揮官のラブコールに応える形で巨人入りしたベテランは、31試合に出場して打率1割7分1厘、0本塁打、2打点の成績。報道陣をシャットアウトして直接指導するなど辛抱強く手は尽くしたが、その後2戦連続でも結果を出せなかった。

 吉村打撃総合コーチは中島の抹消理由について「ファームで打席に多く立って、ナカジらしい打撃をもう一回取り戻してくれと。精神的にもちょっとリフレッシュをしなさいということ」と説明。代わって昇格したのがビヤヌエバだ。同コーチは「外国人枠も空いているし、内野手で複数ポジションを守れる。アレックス(ゲレーロ)と一緒に(二軍に)落ちてもがいてきたわけだから、打線を引っ張ってもらいたい」とした。

 ただ、目の色を変えて一軍昇格をうかがうファームには動揺も広がった。両助っ人は5月6日に同時に抹消となり、ゲレーロは3戦連発と猛アピールして17日に再登録された。しかし、ビヤ砲は1割8分9厘と低空飛行のまま。ファームからは「長打を期待できる右の代打が欲しいということでしょうけど、正直、ビヤの何かが変わったとは言いがたいです…。一軍に上がれば気持ちが入るかもしれませんが、この成績で上がること自体が他の選手たちの士気に影響しないか心配です」との声も上がった。

 さらに、G投の再建にもメスが入った。この日からファームの三沢コーチを一軍のブルペン担当に配置替え。リリーフ不安の解消へ投手コーチを3人に増員し、原監督は「スクラムを強めにしたいということ。コーチの人数もウチはまだ余裕があったからね」と狙いを明かした。投手陣にさらに目を届かせる一方で、球団スタッフからは「根本的に先発から中継ぎへの配置転換も多く、二軍の先発の数も足りていない。一軍の首脳陣は二軍で状態を上げてほしいと思っているけど、試合で投げなきゃいけないから一軍に呼ぶ時には疲労した状態になっている」と“悪循環”に陥っているとの指摘もあったが…。

 交流戦を間近に控え、踏ん張りどころの巨人。果たして指揮官が振るった大ナタは奏功するか――。