名球会の入会ルール緩和されるか 上原ら候補めぐり会員アンケート実施していた

2019年05月31日 11時00分

昨年トリプル100を達成した上原

 一般社団法人「日本プロ野球名球会」が現会員を対象に、新入会員受け入れの是非を問うアンケートを実施していることが29日までに分かった。100勝100セーブ100ホールドの偉業を残し、今月20日に現役引退を表明した巨人・上原浩治投手(44)をはじめ、複数投手の名前が候補に挙げられているという。“打高投低”のメンバー構成を危惧する意見もあり、今オフにも開催される総会で改めて議論されることになりそうだ。

 上原は20日の引退会見で、自らが達成した日米通算100勝100セーブ100ホールドのトリプル100について「どのポジションで全うしたわけでもなく、中途半端に先発、中継ぎ、抑えをやっちゃったかなという感じ」と謙遜気味に話した。しかし、日本選手初の偉業であるのは紛れもない事実だ。すでに昨年11月の名球会総会でトリプル100の上原の入会についての議論はなされている。結果は先送りだったが、山本浩二理事長(72)は勝ち星やホールド、登板数などの新基準を改めて設定する方向で議論を進めることを示唆していた。

 今回、本紙の取材で明らかになった現会員を対象にしたアンケートで、新入会員候補として名前が挙がった投手は斎藤雅樹(巨人で180勝)、西口文也(西武で182勝)、石井一久(ヤクルト、ドジャースなどで日米182勝)、日米通算900試合登板にあと16試合(29日現在)と迫っているヤクルト・五十嵐亮太ら。現在は回答を待っている状態だ。

 実際問題として、名球会の現会員は投手16人、打者49人の計65人と“打高投低”でバランスが良くない。ある名球会関係者は「いまは週1度、年間二十数試合の登板で10勝すれば一流と言われる時代。それで200勝なんて無理。『昔、稲尾さんは1か月で10勝した』と言う人もいるが、今は不可能です。ルールを考え直す時期だという空気はありますよ」と訴える。

 打者49人の会員には巨人・阿部に阪神・福留、鳥谷、ヤクルト・青木、ソフトバンク・内川、ロッテ・福浦と現役が6人おり、2000年以降に入会した選手だけでも30人いる。それに対して投手の会員は現役選手0人で、00年以降に200勝を挙げて入会したのは野茂英雄(近鉄、ドジャースなどで日米201勝)ら4人だけ。工藤公康(西武、ダイエー、巨人などで224勝)は41歳3か月、山本昌(中日で219勝)が42歳11か月、黒田博樹(広島、ドジャース、ヤンキースで日米203勝)も41歳5か月での大台到達だ。高卒1年目の1956年から21勝、35勝、33勝、30勝、20勝、42勝を挙げ、25歳2か月で200勝をマークした稲尾和久(故人、名誉会員、西鉄で276勝)が活躍した時代と同じ基準で考えるのはいかにも無理がある。

 現在では投手の分業化が進み、米大リーグに挑戦するケースも多い。そんな現状を踏まえて03年12月には通算250セーブ以上の投手と、投打とも記録を日米通算とすることで門戸を広げたが、救援投手の会員は佐々木主浩(横浜、マリナーズで日米381セーブ)、高津臣吾(ヤクルト、ホワイトソックスなどで日米313セーブ)、岩瀬仁紀(中日で407セーブ)の3人しかいない。

 名球会は野球教室などを通じての競技振興や、東日本大震災の被災者支援などの社会貢献にも積極的に取り組んでおり、活動の場は台湾、フィリピン、ベトナム、韓国と海外にも及んでいる。50代半ばの“中堅名球会”までの世代は、将来的な組織の発展という側面からも基準緩和に積極的だという。

 ただ、現会員の意見は様々だ。「誰も成し遂げていないことを達成した人には入会を認めるべきだ」との声もあれば「数字は決めたもの。(200勝の)ハードルを下げるのはどうしたものか」と基準緩和に消極的な主張もある。山本理事長に難しいかじ取りが求められているのは確かだ。

 20年東京五輪では野球が正式種目に復活する。侍ジャパンがメダル獲得ともなれば、野球熱は一気にヒートアップするだろう。名球会には、プロを目指す若者や現役選手のモチベーション向上にもつながる最良な判断を期待したいところだ。

【古参メンバー歯切れ悪い理由とは】通算224勝左腕で名球会のメンバーでもあるソフトバンク・工藤公康監督(56)は、上原のトリプル100について「入会が認められるべき数字。僕は、ずっと『資格がある』という立場で考えている」とのコメントを出している。古参のメンバーたちも上原に関しては「入会を認めるべき」とする声が多く、上原に関しては大きな反対意見もなく、すんなり名球会入りとなりそうなムードだ。

 一方、180勝に関しては、古参メンバーたちの歯切れの悪さが目立っており、若手メンバーたちの一部にも口を濁す者が少なからずいる。なぜなら、191勝の松岡弘(ヤクルト、1968~85年)、187勝の足立光弘(阪急、1959~79年)は認めないのかという問題が出てくるからだ。しかも、在籍時期で登板数が大きく違うことがより複雑にする。松岡660、足立676に対して西口436、斎藤426で、足立の登板数は斎藤の1.59倍だ。時期で区切るにしても誰もが納得できる理由が必要となる。それだけに、こちらはアンケートで賛同票がそれほど集まらないかもしれない。