阪神のオネルキ・ガルシア投手(29)が26日、一軍復帰戦となったDeNA戦(横浜)に先発し、最速151キロを計測するなど4安打完封、遅ればせながらの移籍後初勝利を飾った。昨季中日で13勝をマークし、補強の目玉として期待されたものの、開幕から3戦連続7失点KO、防御率19・29で二軍落ち…。最悪のタテジマ人生が危惧されたが、自らのスパルタ方針で復活を果たし、フロント陣も活気づけた。

 4月16日のヤクルト戦(松山)以来、40日ぶりの一軍マウンドで汚名を返上したガルシアは「とてもうれしいし、満足している。野手の皆さんがたくさん打ってくれて…。選手の方々、ファンにも感謝したい。初めて1勝できたのでこれを続けていきたい」と笑顔。貯金を最多タイの4に戻した矢野監督も「球の走りとか、ガルシアらしい投球を見せてくれた。チームにとっては明るい材料。大きな1勝となった」と手放しで喜んだ。

 実績ある助っ人が早々の二軍暮らしともなれば、フテくされるケースも少なくないが、来日2年目のガルシアは違った。香田投手コーチら二軍首脳陣には「他の若手選手と同じように練習量を増やしてほしい」「厳しくやってもらっていい。中日時代も森監督(当時)とそうやってきたから」と特別扱いを拒否し、自らスパルタ志願したほどだという。

 今では外国人投手がやらない「シャドーピッチング」の練習まで取り入れるほどの“必死のパッチ”。繊細な性格にもメスを入れ「以前とはまったく違う自分を見せられる自信がある。考えないことを意識し、無心で投げる」と豪語したくらいだ。

 そんなガルシアだからこそナインも応援。この日は同じ新入団組のジェフリー・マルテ内野手(27)が試合前に「オレも全力で尽くすから、お前も尽くせ」とハッパを掛け、自ら4号ソロで援護。勝たせたい一心だったのだろう。

 また、ガルシアの白星でフロント組も活気づいた。昨オフ、阪神がガルシアを争奪戦の末に獲得したことで古巣の中日サイドから「ガルシアは去年初めてローテーションを守ったことで背中に強い疲労が残っている。2年続けて活躍は難しい」など不気味な指摘を投げ続けられてきたが…。

 阪神サイドは「メディカルチェックでそんな事実はなかったし、変なのをつかまされたということはない。もともと、ガルシアは筋肉質でどこもが張っている状態。背中がきつかったら投げられない。ウチが(ガルシアを)獲ったからそれを言い訳にしているのでは」と反論を展開してきた。今回に続いて次戦でもガルシアの快投が見られれば“つかまされたスカ”ではなかったことの証明になる。

 気分転換で敢行した「赤髪」スタイルも話題となったガルシア。今後もマウンドで躍動し、周囲を黙らせたいところだ。