【楊枝秀基のワッショイ!!スポーツ見聞録】広島がついに単独首位に立った。21日の中日戦(三次)で8連勝を決め、本来あるべき場所へと戻ってきた。

 24日からは巨人対広島(東京ドーム)の直接対決も待っており、結果次第では一気に4連覇のムードが漂ってきそうな状況。開幕直後こそもたついたものの、FAで巨人に移籍した丸の穴を感じさせない戦いを続けている。

 しかし、この強い広島を数年前に想像した人はどれぐらいいるだろうか。2015年こそ米大リーグ・ドジャースから黒田、阪神から新井の両ベテランが復帰。評論家の大半がAクラスを予想した。一方で、25年ぶりのリーグVを果たした16年は前田健太(ドジャース)の流出もあり、最下位予想も少なくなかった。それだけ過渡期だったということだ。

 その中でカープの優勝を16年の春先から予言していた人物がいる。胃がんが発覚する前の赤松真人外野手(36)だ。「今年のチームは優勝しますよ。雰囲気が、めちゃくちゃいいですから」と断言。その根拠を聞くと、さらに自信のコメントが返ってきた。

「僕は若手の中では菊池(涼)とよく話すんですが、まあ年下なのに結構イジってくる。でも、一線を越えないというか、リスペクトがあるイジりなんです。そういうやりとりの中で若手と距離が縮まった。その雰囲気が全体に影響してベテランから中堅、若手まで風通しがいい。こういう雰囲気が続けば何年も強いチームでいられるはずです」

 確かに広島ベンチをのぞくと空気が明るかった。当時の緒方監督も「黒田も新井も(移籍)2年目で自分から周囲に溶け込もうと動いてくれて、先輩、後輩の雰囲気、会話はいいふうにつながっていった」と証言するほどチームは結束。風通しのいいチームは赤松の予言通り3連覇を達成した。

 ただ、予言の主が今のベンチにはいない。17年の手術、抗がん剤治療を経て赤松は18年に実戦復帰を果たした。昨季はウエスタンで盗塁と本塁打を記録し、今季は21日現在、二軍戦21試合に出場。それでも、一軍復帰はまだだ。イジり役の菊池涼やナイン、ファンも待っている。赤松が4連覇の歓喜の輪に加わることを。