菅野が一発病? いやいや、巨人の歴代エースはもっと“スゴかった”

2019年05月25日 11時00分

今季の菅野(中)はやけに本塁打を浴びているが…

【赤ペン・赤坂英一】巨人・菅野が一発病にかかったともっぱらだ。

 今季登板した8試合のうち、7試合で本塁打を被弾。先週15日の阪神戦では福留、糸井、大山、木浪とベテラン、若手、新人に真っすぐも変化球もはじき返され、計4発を献上した。この時点で被本塁打13本は両リーグトップで、さらに昨季の自己ワーストまで早くもあと1本と迫っている。

 だけど、まだたったの13本じゃないか、と私のような古い人間は思う。過去にはリーグワーストのシーズン被本塁打記録を作った巨人のエースがたくさんいるのだから。

 昭和時代から主な被本塁打王を挙げると、堀内恒夫が1968年31本、72年34本(26勝で最多勝)。江川卓が82年36本(リーグ最多24完投で19勝)。桑田真澄が92年24本。上原浩治が2003年28本(リーグ最多11完投で16勝)など。

 とくに江川は現役9年で通算253本、年平均約28本。菅野が自己最多の倍打たれても、やっと江川の平均値に手が届くだけだ。しかも、江川の時代のほうが、現在より飛びにくい球が使われていたはず。江川もかつてはよく一発病と言われたが、いまの菅野と一緒にしては“失礼”だろう。

 江川がそんなに本塁打を打たれたのは、いつも高めの真っすぐで空振りを取るスタイルにこだわったから。そのぶんコントロールが甘くなると、強打者には絶好のホームランボールになった。

 それでも江川は「僕の投げる球は、必ず打者が振ったバットの上を通過させたいんです」と公言。「変化球をバットの下に落とすようになったら、自分はおしまい」とまで言い切っていたものだ。

 桑田の一発病も、独自の投球スタイルに原因があった。当時の正捕手・村田真一(昨季まで巨人ヘッドコーチ)は、私の取材にこう語っていた。

「桑田はな、ストライクゾーンの半分しか使わんのや。内角を攻めずに、外角だけできれいに打ち取ろうとする。力のある打者に外ばっかり投げてたら、一発も食らうわい。それが桑田の美学なんかもしれんが、もっとインサイドも使わんとな」

 しかし、それほど我の強い人間でないと、巨人のエースは務まらないのだろう。一発を浴びないに越したことはないが、先発投手は要するに負けさえしなければいいのである。菅野には今後も、自分のスタイルを貫き、一発を恐れぬ真っ向勝負の投球をしてほしい。