巨人・上原 日韓W杯を一般席で観戦「一番最初に誘ってくれたから」

2019年05月21日 16時30分

上原と楊枝記者(右)

【取材のウラ側・現場ノート】テンポ抜群の投球スタイルと同じ。上原の性格は、はっきりしていた。決めたらやる。済んだことをグズグズ言わない。気持ちのいい人間だ。

 2002年6月9日のことだった。日韓共催サッカーW杯の日本対ロシア戦での勝利を、一緒に横浜国際総合競技場で目撃した。歴史の証人として、上原の観戦記を書かせてもらった。

 当時の上原は、すでにスーパースター。競技場の入り口で並ぶこともなく、VIP席での観戦も可能だった。それでも「一番最初に誘ってくれたんが楊枝さんやから。約束したから、その通りにやる。普通のことやん」と、こちらで用意した普通の席に座ってくれた。周囲のファンのみなさんに気づかれまくったが、お構いなしに勝利のハイタッチを交わした。

 その後、何年もたち、上原は日本人初のワールドシリーズ胴上げ投手に。こちらはしがないフリーライターだったが、多忙な帰国中に筆者が経営するスポーツバーを訪れてくれた。さらには、こちらのダメもとのお願いに応じてくれる形で、実使用のグラブを店に寄贈してくれた。

「店まではるばる来て、サインも何も頼まれへんほうが悲しいよ。もちろん相手にもよるけど、素直にお願いしてもらったほうが気分もいいもん」

 出会いはスーパールーキーと駆け出し記者として始まった。今でもその差は開く一方だ。それでも、どんな大物になっても同じ時代を生きた仲間として接してくれた。上原には何もお返しできてないが、今後もこの気持ちのいい人間・上原浩治を語り継いでいくことで恩返ししたいと思う。

(元巨人担当・楊枝秀基)