王者が完全復活だ。広島が19日の阪神戦(甲子園)に5―1で勝利。11日のDeNA戦(マツダ)から続く連勝を7に伸ばして貯金6とし、首位・巨人にゲーム差なしに迫った。開幕から不振が続いていた田中広輔内野手(29)は2安打と復調気配だ。

 試合前までの打率が1割6分6厘の8番・田中広は2回に先頭で打席に立つと、右翼線へ二塁打。菊池涼の投手強襲の内野安打でホームに生還すると、4回には中前打。菊池涼の右翼線三塁打で4点目のホームを踏んだ。昨季は1番、2番を任された“タナキクコンビ”だが、不調が続く田中広は打順を下げられ「8番・遊撃」が定着しつつある。それでもこの日はタナが出塁し、キクがかえすパターンで2得点。名コンビが敵地のグラウンドを躍動した。

 そんな田中広に、試合前には室内ブルペンの前で迎打撃コーチがマンツーマンで指導する姿があった。迎コーチによれば「スイングの時に『前を向くな』」と言っているという。「早く前を向くとバットが出てこない。そうなると腕でバットを出そうとして、バットが波打つ。それが弱いゴロ、弱いフライになることが続いている」(迎コーチ)

 試合後「(安打は)出ないよりは出たほうがいい。これを続けていきたい」と淡々と語った田中広。迎コーチも「まだまだです」と手厳しかったが、二人三脚での打撃フォーム改造は実を結びつつある。