右肩を痛めて二軍調整中の中日・松坂大輔投手(38)が、練習日にゴルフをしたとして球団からペナルティーを与えられた問題で、その処分内容が判明。チーム内で波紋が広がっている。球団OBによると、松坂に科せられたのは「10日間の外出禁止」と「反省文の提出」の2つという。この“量刑”を巡ってチーム内では賛否両論の声が上がっている。

 松坂は、2月のキャンプ中にファンとの接触で右肩に炎症を発症。関東地方の医療施設でリハビリ治療するため、定期的に練習を欠席することを申し出て、球団から許可を得ていた。ところが、5月上旬の二軍の練習日に千葉県内でゴルフをしていたことを、17日発売の写真週刊誌「フライデー」に報じられることが判明したことで、球団から規律違反としてペナルティーを科せられた。

 球団側は今回の処分内容について非公表としていたが、チーム内の情報を聞きつけたある球団OBによると「10日間の外出禁止」と「反省文の提出」の2つが松坂に科されたという。

 これがチーム内にも広がっており、2つの意見で真っ二つになっている。チーム関係者は「いくら何でもペナルティーが軽すぎるのでは。10日間の外出禁止といっても、練習には普通に来ているわけだし、松坂が夜にどこへ行こうが球団がずっと監視できるわけじゃない。実質、何のペナルティーもないのと同じこと。たとえゴルフが禁止されていない休日だったとしても、リハビリ中の身でやるなんて自覚が足りない」と憤りを見せれば、別の関係者は「今後のチームに及ぼす影響も考えたら、本当は罰金100万円ぐらい取った方がよかった。そうすれば本人も含めてみんなすっきりしたはずなのに」と指摘する。

 このような問題や不祥事を起こした際、故星野仙一監督時代の中日では選手から罰金を徴収することは珍しくなかったが、現代ではコンプライアンス(法令順守。企業などが法令や規則をよく守ること)が厳しくなっている。そのため、球団幹部は「本当は罰金を取りたかったけど、このご時世ではコンプライアンス上、それができなかった」と苦渋の表情を浮かべる。

 一方で、松坂に処分を科すこと自体を疑問視する声もある。松坂は問題となった日について、早朝のゴルフ後「治療もトレーニングもしています」と説明しているように、ある球団関係者は「練習日とはいえ、チームを離れることを許可されていたんだから、治療前後の空き時間を使って松坂が何をしても自由なのでは。練習が終わってパチンコに行くコーチや選手がどこの球団にもいるけど、それは別におとがめはないわけだしね。ゴルフはスポーツなんだし、リフレッシュもできる。よっぽどパチンコをしていた方が印象悪いと思う。そう考えると、今回、球団がペナルティーを与えたことはかわいそうだ」と松坂を擁護する。

 19日、ナゴヤ球場で練習し、右肩を故障して以来、初めて打撃投手を務めた松坂。杉山、武山を相手にスライダーやカーブ、カットボールも交えてワインドアップから35球を投げ込み「ストレートも変化球も、そんなに抜けることも高めに浮くこともなかったし、まずまずだった。いい練習になった」と手応えを口にした。

 それでも今後について松坂は「ここまで順調にきているけど、状態としてはまだまだなので、もう少し打者に対して投げさせてもらいたい」と慎重に話す。投球を見守っていた門倉二軍投手コーチは「指にかかった球もかなりあった。彼がグラウンドの真ん中のマウンドから投げられたのはチームとして明るいニュース」と喜んだが…。

 果たして今回「平成の怪物」に科されたペナルティーは軽いのか、重いのか。“ゴルフ騒動”の余波は、まだまだ収まりそうもない。