ソフトバンクは16日の西武戦(ヤフオクドーム)に5―1で勝ち、連敗を3で止めた。ゴールデンウイーク後1勝6敗と失速していたチームを救ったのは令和のサブマリン・高橋礼投手(23)と甲斐拓也捕手(26)だった。

 高橋礼は自己最長の8回を投げ5安打無四球1失点。テンポ良く凡打の山を築き、試合時間2時間24分の“高速ゲーム”を演出しハーラートップタイの5勝目を挙げた。

 終盤まで続いた息詰まる投手戦の中、一振りで試合を決めたのは甲斐だった。7回二死から値千金の4号決勝弾。「甲斐さんが本当によく打ってくださるイメージ」。登板前に高橋礼が語っていた通りの一発だった。

 数字が物語る。高橋礼が先発した今季6試合の甲斐の打撃成績は打率3割1分6厘、3本塁打、8打点。19打数6安打でうち長打が5本で、持ち前のパンチ力を生かした甲斐の理想とする打撃ができている。全41試合の成績が打率2割3分4厘、4本塁打、16打点であることを見れば、いかに顕著な数字であるか分かる。

 なぜ、甲斐は高橋礼とコンビを組む試合で“強打者”に変貌するのか。首脳陣の一人は「あれだけテンポよく投げてくれると、捕手も打撃に集中できる。野手もそうだが、特に捕手は守る時間が長くなればそれだけ守りに頭を使う。その時間が少なくなれば必然的に打撃への集中力は増す。それは間違いない」と言い切る。扇の要である捕手は、まずはディフェンスが一番。常に打者と相手ベンチと駆け引きし、その後の対戦のために餌をまくなど、考えることはキリがない。頭を常にフル回転させるポジションゆえに、速いテンポと守備時間の短さは打撃に好影響を及ぼす。

 お立ち台に上がった高橋礼は女房役の援護弾に「感無量です。次も必ず打ってください!」とリクエスト。頼もしい後輩からのおねだりに甲斐も「打てるように頑張ります」と照れ笑いで応じた。これからも高橋礼が好投すれば、必ず甲斐がハッスルするはずだ。