巨人は14日の阪神戦(東京ドーム)に2―4で逆転負けし、今季7度目の対戦にして初黒星を喫した。打線も3戦連続で2得点以下と低調だったが、課題のリリーフ陣も誤算。その投手部門を束ねる首脳陣の間では、ここへきて大きな変化が表れている。この日は杉内俊哉ファーム投手コーチ(38)が本拠地まで足を運んで異例の“終日帯同”。一軍との連携強化が主眼ながら、選手間にはいっそう緊張感が走っている。
試合が暗転したのは7回だった。初回に2点を先制してもらった先発のドラ1左腕・高橋は、6回まで1失点の粘投でブルペン陣にバトンを渡した。しかし、2番手のアダメスが安打と四球で一死一、二塁のピンチを招いて降板。代わった戸根も代打・北條に同点打を許し、二死満塁から糸原に決勝の2点適時打を浴びた。
対阪神では開幕から6連勝、引き分けを挟む昨季からの連勝も「9」でストップ。打線も低空飛行が続くが、アダメスは3試合、戸根は14試合連続で無失点だっただけにショックは小さくない。
試合後、原監督は「これからリリーフの投手は接戦の時にどういう投球をするか。本人たちもそこに課題を持っているはず。点数が離れた時の投球がそこそこできるのは分かっているのでね」と指摘した。
敗戦に直結した2人の入れ替えはこの日は見送られたが、決して安心はできない。実はファーム投手コーチ陣が東京ドームを訪れ、情報共有をより密にしているためだ。この日は杉内コーチが試合前練習から終日“帯同”状態。12日には木佐貫同コーチも姿を見せた。水野投手コーチに、その意図を直撃すると…。
「去年、一軍と二軍の投手コーチの交流があまりにもなかったんじゃないかと。去年は(菅野)智之以外は全員、二軍と三軍を経由している。(ファームコーチから)俺らは二、三軍の情報を教えてもらう。(個々の選手が)一軍にいるいい状態を見てもらって、どういう球を投げ、どんなこと(取り組み)をやっているかを(把握してもらう)。二軍に落ちた時に、どうすればいいか分からないでは困る。先発もリリーフも一軍の我々とファームの木佐貫や杉内たちでコミュニケーションを取っている」
さらにミーティングへの参加も促し「どう攻めているのかも二軍に持ち帰って二軍の投手に伝えてもらいたい」と明かし、杉内コーチは「(一軍首脳陣と)いろいろ話をしながらという感じですね。今後も定期的に? はい」と語った。
ファーム首脳が一軍に“出勤”する異例措置でスムーズな連携が図られれば、個々の状態を見極めながら適材適所の入れ替えも可能となるだろう。一方の選手サイドには常に緊張感が漂う。
今季初黒星のアダメスは「投手コーチがしっかり抑えてくれると思って起用してくれている。これからも頑張っていきたい」と口を真一文字に。戸根も「また明日頑張ります」と足早に球場を後にした。二軍では、野手ながら最短で16日からの復帰を目指すゲレーロやビヤヌエバもそれぞれ本塁打をマーク。誰もうかうかしていられない。