巨人の坂本勇人内野手(30)が12日のヤクルト戦(東京ドーム)の第1打席で中前打を放ち、開幕から36試合連続出塁のセ・リーグ新記録を樹立した。試合は1―4で敗れたが、リーグ3冠王をひた走るキャプテンの勢いに、チーム内からは「イチロー超え」を熱望する声も飛び出している。そんななか、原監督を筆頭にチームは「背番号6」のケアに細心の注意を払っている。

 この日の巨人は、初回に飛び出したキャプテンのメモリアル打から一死満塁の好機をつくったものの、この回亀井の犠飛による1点しか奪えず。結局、ヤクルト投手陣に計4安打と抑え込まれると、先発の山口は今季最短の3回3失点KOを喫し、1―4で敗れ2連敗。2位のヤクルトに1ゲーム差まで迫られた。

 7回にも内野安打を放ち、ひとり気を吐いた坂本勇は「セ新記録」との問いかけにも「もうその質問は飽きた」と敗戦後ということもあり、ぶぜん。次は1983年にスティーブ(西武)がマークした開幕戦から40試合連続出塁のプロ野球記録、さらに99年にジーター(ヤンキース)が記録したメジャー記録の53試合を目指すことになるが、チーム内からは「ここまできたら開幕からの連続出塁だけじゃなく、イチローさんの持つ連続出塁のプロ野球記録(69試合=94年)も抜いてほしい」との声が出ている。

 実際、それは可能なのか。ライバル球団のコーチは「今の坂本勇は投手がコースをついても抑えられない。もともと、打撃が完成されていたけど、さらに磨きがかかっている。単打や四球で済むなら大歓迎。むしろその後に続く打者を抑えた方がいい」と白旗。四球での出塁も増えそうで、この勢いなら金字塔も決して夢ではないかもしれない。

 だが、唯一問題なのは、坂本勇が抱える“爆弾”の存在だ。昨季の坂本勇は7月に左脇腹肉離れで約1か月半、離脱したほか、腰痛にも毎年のように悩まされている。出塁が増えれば増えるほど体への負担も増え、記録への重圧も、より体への負担となる。69試合まであと33試合。交流戦の移動なども含め、コンディションの維持が最大のテーマとなってくる。

 原監督も当然、坂本勇の状態は把握しており、4月27日のDeNA戦(東京ドーム)では、6回の右手死球で坂本勇を途中交代させると、10連戦最後となった6日のDeNA戦(横浜)でも8―1と大量リードの6回守備から増田大と交代させた。「長いペナントレースを戦っていく上にということで」(原監督)と、主将の長期離脱を避けるため打てる手はすべて打っている。

 記録のためにも5年ぶりVのためにも「チームが勝つことが一番。記録は意識していない」と話すキャプテンが、離脱するようなことがあってはならない。今後もチーム一丸となってケガから守っていくことになる。