阪神・原口復活の絶大効果 同じく大腸がんから生還の本紙評論家・伊勢孝夫氏が分析

2019年05月10日 16時30分

二軍戦で復帰後初安打を放ち、笑顔の原口(右)

 大腸がんからの復活を目指す阪神・原口文仁捕手(27)が9日のウエスタン・中日戦(鳴尾浜)で手術後初めて「5番・指名打者」で先発出場し、復帰後初の安打をマークした。前日の復帰に続き完全復活に向けて大きな一歩となったが、大腸がん克服の経験を持つ本紙評論家の伊勢孝夫氏が猛烈エールを送るとともに、チームへの“原口復帰効果”に言及した。

 復帰2戦目となった原口が早くも結果を出した。満員のファンからの拍手を受けてこの日最初の打席に入ると中日・垣越のカーブをきっちり捉えて中前へ。その後は死球、二飛に終わり2打数1安打だったが、十分に存在感を発揮した。

 復帰戦となった8日の代打出場からわずか2打席目での快音に原口は「開幕したかなという感じ。打席のなかでは対応できている」とニッコリ。捕手の守備についても「早く就きたい。いつでもいける準備はできているので、流れに任せてやっていきたい」と意欲をみせた。

 そんな原口の復帰打を誰よりも喜ぶのが伊勢氏だ。実は自身も原口と同じ大腸がんの経験者。近鉄のコーチを務めていた1996年12月に発覚し翌97年1月に手術。医師からは「早くて半年、長くて2年」と宣告されたが、リハビリを経て見事に現場復帰を果たした。経験者にしか分からないつらさを味わっているだけに「また発症するんじゃないかと神経質になったり身体的にも体重、筋力ともに落ちてそれを戻すことも大変だった。私はコーチだったが、現役バリバリの原口はもっとしんどいはず。そうした苦難を乗り越えてこれだけ早くグラウンドに戻ってきたことは本当に素晴らしい」と背番号94の不屈の闘志をたたえる。

 その上で期待するのが手術前以上の活躍だ。「どん底から這い上がり、人間的にも大きくなっているのは間違いない。それは野球でも生かされる。ブランク明けでもいきなり安打が出たように、もともと打力は天才的なセンスの持ち主。もちろん無理は禁物だが、甲子園で躍動する姿を見たい。原口が活躍することが同じように大病を乗り越えようとする人の励みにもなるはずだから」とエールを送る。

 一軍にとっても原口復帰は大きなプラスだという。12連戦を8勝3敗1分けと大幅に勝ち越したチームは3位と好調だが「原口が準備万端になれば新たな競争が生まれる。他の選手も『負けていられない』という気になってチーム全体の緊張感が保たれる。打線は不調になる時期はどこかで来るので、そんなときに原口がいればベンチも心強いだろう」と分析する。誰もが完全復活を願っている原口だけに、その効果も絶大のようだ。