阪神移籍後初の中5日で先発した西勇輝(28)は6回を投げて今季ワースト5失点で降板。3回まで完璧投球だったが、4回に死球からピンチを広げてビシエドに逆転3ランを被弾し、5回にもダメを押された。

 チームは試練の12連戦で痛恨の黒星スタート。3、4月の月間負け越しも決まった。自身2連敗で今季3敗(2勝)を喫したFA右腕は「(ビシエドに打たれたのは)自分の中では勝負に行った球。狙いは併殺だったんですが…。先制してもらったのに、いい展開を止めてしまった。次は切り替えてやっていく」と神妙な面持ちだったが、周囲は西のマウンドでの振る舞いにも問題があると指摘する。

「ビジエドの場面もそうだが、捕手が何度も内角を要求するサインに従いすぎている感じがする。移籍1年目で遠慮しているのか、オリックス時代のように『俺はこの球で行く』と、もっとサインに首を振ってもいいんじゃないか。そのほうが西らしさが出ると思う」(ある阪神OB)

 通算74勝を挙げたオリックスでは、いい意味で“自己主張する投手”として捕手のサインにダメ出しする強気な面を見せた。今春キャンプの実戦でも捕手のサインに首を振るシーンはあったが、西は「なるべく首を振りたくない。そこは(普段から捕手と)しゃべることが大事。リズムにもつながると思うので、しっかり話し合っていく」と反省したほど。前出のOBが指摘したように遠慮もあるのだろう。

 大事なのは一つでも多く勝利に貢献すること。そのためなら少しぐらい“我”を出すのも悪くないはずだ。