広島・床田 人生をChangeさせた一冊

2019年04月28日 13時00分

ウイニングボールを手に笑顔の床田

 あっという間に借金完済だ。開幕ダッシュに失敗した広島は27日のヤクルト戦(神宮)に2―0で勝ち、破竹の8連勝で勝率を5割に戻した。ヒーローは先発の床田寛樹(24)だ。7回無失点の好投でリーグトップタイの4勝目(1敗)をマーク。左ヒジの手術を乗り越えた3年目左腕のブレークの裏には、意を決して読破した“秘伝の書”の存在があった。

 終盤まで息詰まる投手戦だった。相手先発の小川は8回1失点。1―0の7回には二死一塁から小川への四球でピンチを迎えたが、続く太田をスライダーで空振り三振に仕留めた。走者を背負った場面はいずれも三振で切り抜け、三塁を踏ませなかった。ヒーローインタビューでは「要所をしっかり締められた」と少しだけ胸を張った。

 プロ1年目の2017年は開幕ローテーション入りし、同4月12日の巨人戦でプロ初勝利を挙げた。しかし、程なく左ヒジが悲鳴を上げ、同7月に通称トミー・ジョン手術を受けた。

 昨年は8月に二軍戦で実戦復帰したが、一軍登板はなし。「早く戻らないと先はないと思っていた」という時期もあったが、ジッと耐えた。今季は初登板になった3月30日の巨人戦で黒星を喫したものの、その後は4連勝。13日のDeNA戦ではプロ初の完投勝利を挙げ、防御率1・83で初の月間MVPも見えてきた。

 そんな苦労人の左腕には目標とする“モデル”がいる。昨年限りで現役を引退した同じ左腕の巨人・杉内俊哉二軍投手コーチ(38)だ。「ユーチューブで杉内さんの映像を見て、投げ方とかをまねしたり参考にしている」そうで「杉内さんは、ゆったりした投球フォームなのに、ピュッと(打者の手元に)くるんですよ。映像を見て実際にやってみたりしています」。

 床田は基本的に「漫画しか読まない」が、生涯で一冊だけ読破した本がある。杉内コーチがソフトバンク時代に同じ左腕の和田毅投手(38)と共著で出版した「サウスポー論」だ。高校2年生の床田は書店で「何やろ」と手に取り、購入から2日で読了したという。

 2人が15の質問に答える形式で構成された同書で、杉内コーチは登板前の準備やマウンドで四球を与えたり失点した時に思うこと、メンタルの調整法などを述べている。床田にも「力の抜き方とかが参考になりました」と得るものが多く「最初で最後じゃないですか」と語る読書は、その後の野球人生に大きな影響を与えた。

 チームは開幕ダッシュに失敗して最大8つの借金を背負ったが、8連勝で一気に完済した。令和になって安定した貯金生活を送れるかどうかは、床田の左腕にかかっているといっても過言ではない。