たいした新人だ。ソフトバンクでセットアッパーの大役を担うドラフト1位・甲斐野央(22)は25日のオリックス戦でも8回の1イニングをピシャリと抑えて、初登板から11試合連続無失点。これはドラフト制後のルーキーでは日本記録だ。

 オープン戦では7試合で防御率8・53と不安定な面ものぞかせた。そこからの大変身は、スポンジのような吸収力があるからだという。本格的な投手転向は東洋大に入学してから。気になることがあれば工藤監督、コーチ、先輩選手に質問し、アドバイスされたことは素直に受け入れる。

 倉野投手コーチは「(守護神の)森のいいところを見ていて、準備の面など取り入れようとしてやっている。そこ(他者から素直に学ぼうとする姿勢)も彼のいいところで、伸びシロを感じるところでもある」と証言。チーム関係者も「キャンプ時から(エースの)千賀や森に話を聞いていた。この世界で生き残るためにも学びたいという思いがあるのだろう。いろいろと聞いた上で自分に何が必要か取捨選択できる能力もある」と話す。

 指揮官に対しても臆することはない。現役時代に通算224勝を挙げた工藤監督にはキャッチボールに関して教えを仰いだ。甲斐野は「いろんな人からアドバイスをもらっている。毎日発見があって、いいチームに入れました。自分のレベルが上がる要素をもらえている」と満足そうに話す。主力選手に故障者が続出しても首位争いをできているのは、頼もしい新人セットアッパーがいるからこそだ。