確変モードに突入か。巨人は19日の阪神との3連戦初戦(甲子園)に12―4で大勝した。立役者は1号3ランを含む初の4安打&3打点と大爆発した小林誠司捕手(29)だ。打率も2割9分から3割6分1厘にまで急上昇。好調な打棒の裏には意外な“反骨心”もあるようで――。

 驚きと笑いに包まれた一発だった。0―0の2回一死一、二塁で回ってきた第1打席。小林はメッセンジャーのカーブをすくい上げ、左翼席へ放り込んだ。小林の本塁打は昨年7月29日の中日戦(東京ドーム)以来、264日ぶりで甲子園ではプロ6年目で初めて。まさかのアーチにベンチは大盛り上がりで、手荒い祝福を受けた小林の勢いはますます加速。その後も右前打、中前打、右中間二塁打。5打席目は相手中堅の失策と判定されたが、計3発、14安打を放ったG打線に火をつけたのは小林だった。

 自らのバットでバッテリーを組んだ菅野をも助けた女房役は「なかなか今まで援護したことがなかったので良かった」と笑みをこぼし「(本塁打は)たまたまです。積極的に振りにいった。もう1回、試合で結果を出せるように練習したい」と表情を引き締めた。キャンプ中から何度も直接指導してきた原監督も「非常にいいところで小林が打ってくれましたね。見事でしたね」と賛辞を惜しまなかった。

 球界屈指の守備力を誇る小林の課題は、2年連続でリーグ最低打率(2016、17年)も記録した打撃だ。小林に火をつけたのは新加入の炭谷の存在だけでなく、同じくFA移籍してきた丸の存在も関係しているという。どういうことか?

 チームスタッフは「これまで同学年だった(菅野)智之に加えて丸も入り“ヘタ目立ち”するんじゃないかと気にしていました。2人の年俸も『エグい。同級生とは思えない。だって何倍ですか? 考えられへん…』と何とも言えない顔をしていましたからね」と知られざる“悩み”を明かした。

 ちなみに、この同学年トリオの今季推定年俸は小林が6000万円なのに対し、菅野は日本球界史上最高額の6億5000万円で、丸は4億5000万円と文字通りの桁違い。金額がすべてではないとはいえ、プロの選手の価値を示す指標の一つは年俸だ。同世代にこれだけの差をつけられた“年俸コンプレックス”が、多少なりとも反骨心を生んでいるようだ。

 振り返れば、昨年は規定打席に到達した4月24日に3割7分5厘で一時は首位打者に。当時の首脳陣には「春の珍事」とやゆされ、最終的に2割1分9厘でシーズンを終えた。小林は「理由は分からないけど、春先だけで終わらないようにしっかり練習したいと思います」と選手バスへ乗り込んだ。

 下位が活発になれば、それだけG打線の破壊力は増す。小林がどこまで好調を維持できるか注目だ。