今年の竜は笛を吹けば踊る? 中日が19日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)に4―2で逃げ切り3連勝。貯金3とし、首位ヤクルトに0・5ゲーム差と肉薄した。3年ぶりの首位も目前だ。開幕前の評論家などによる順位予想では大半が低評価だったが、ここまでの下馬評を覆す快進撃の裏には与田剛監督(53)が鳴らす“指笛効果”があるという。

 試合中、ここぞの場面などで、指揮官はベンチの前方に立ち、左手の親指と人さし指でオッケーマークをつくって口に入れ、指笛を鳴らす。本人によれば「肺活量MAXで吹いている」そうで「ピィーー!」と甲高い音が鳴り響くと、グラウンドに出ている選手やコーチが一斉に振り返る。

 その“美爆音”について、中村バッテリーコーチは「僕らコーチがワーワー言っても聞こえない時に、監督がやると、ほとんどの選手が気づいて注目する。監督の指笛は大きくて、きれいな音がして本当にうまい。教えてほしいぐらい」と舌を巻く。コーチが守備隊形を選手に指示する際、指笛を鳴らすケースはあるが、日本人監督が率先してやることは珍しい。この日、決勝2号2ランを放った阿部も「攻撃の時も監督がベンチで鳴らしているのは聞いたことがある」と証言する。

 村上打撃コーチは「攻撃の時も打者は集中しているので声で『おい!』とか『タイム!』とか叫ぶよりも指笛でピィーと鳴らせば気づく。みんな一つの方向を向いてやろうという表れだと思う」とみている。ナインにも大好評で「監督の指笛を聞くと緊張感が走るし、どこか鼓舞されるところもある」ともっぱらだ。

 もっとも与田監督自身は「別にはしゃいでるわけじゃないし、何かサインを送っているとか、悪いことをしているわけじゃないよ。指笛は音も高いし、みんなが一斉に見るので一番効果的。シンプルに選手を呼ぶだけ」と説明するが、昨季までの“笛吹けど踊らず”だった中日とは一味も二味も違う。