西武・辻発彦監督(60)が4―2と逆転勝ちを収めた7日の日本ハム戦(東京ドーム)で投手交代のタイミングの難しさに言及した。

 この試合で西武打線は8回まで相手先発・有原の前に散発3安打11三振を喫し、お手上げ状態のゼロ行進。今季初の完封負けも覚悟せざるを得ない状況だった。しかし、相手ベンチはそれまで117球の力投をしていた右腕を下げ、9回のマウンドに新守護神候補・ハンコックを送った。

 結果的にこの継投が眠っていた重量打線を呼び覚まし、外崎の2号逆転3ランで完結する逆転劇の導火線となったわけだが、試合後、辻監督はこの有原降板についてしみじみ語った。

 指揮官は「今日の有原は打てないって。あんな有原は見たことがないし、開幕3つ目に投げたビデオを見てたら、ちょっと容易じゃないなと思った。やっぱりいい球投げるよね。見事なピッチングでした」と攻略の糸口さえつかめなかった相手先発を絶賛。続けて「難しいよね、ピッチャーを代えるタイミングは。普通代えられないよ、完封しているピッチャーをあんなところで。もうあそこで120球も140球も変わらんて」と西武にとってはありがたい継投となった9回を振り返り、攻略した自軍打線を「たまたま上位打線という巡り合わせになって、それはもう選手の力と気持ちよ」とたたえた。

 そして、日本ハムベンチとは対照的に7回終了時点で108球を数えていた先発・高橋光を本人の直訴により8回の続投を決断。9回表の逆転劇によって勝利投手とした辻采配は“昭和”なテーストながら際立った。

 指揮官は「(光成は)見事だったね。(3回に)2点を取られて『んー』と思ったけど、マウンドでおどおどした感じもなかった。8回によっぽど代えようかと思ったけど、あいつの顔を見たら『行かせてください!』というので『まあ(この試合は)お前にやるわ』というところ。光成に勝ちがついて本当に良かった。これほどうれしいことはない」とコメント。続投を志願した5年目右腕の130球熱投が生んだ打線との連動による逆転劇。勝負のアヤは両軍ベンチの継投のタイミングにあったが、西武ベンチが少しだけ上回っていたのは選手とベンチの勝負どころでの信頼関係でもあった。