背番号10が生きる道は――。巨人・原辰徳監督(60)が25日、阿部慎之助捕手(40)の今季の起用法について「ピンチヒッター」と断言した。自ら志願して舞い戻った捕手業は事実上、剥奪となり、当面はベンチ待機となる。さらに首脳陣は、比較的負担が軽い一塁での起用にも消極的で、G史上最強捕手が土俵際に立たされている。

 オープン戦全日程を終え、2019年に臨む原巨人の開幕オーダーが見えてきた。4番までの上位打線は吉川尚、坂本勇、丸、岡本で決まっていたが、この日は新たに打撃好調の陽岱鋼を5番とすることを原監督が明言した。

 また、捕手に関しては当初「レギュラー捕手をつくる」としていたが、オープン戦のバッテリーごとの防御率などを考慮し「3人で力を合わせて守ってもらう」と柔軟に軌道修正。「後々、ある程度(の期間で)固まるような形になってくれるのがいいのかな」と、FA戦士・炭谷、小林と大城の3選手を併用していくという。

 ここで気になるのは、4年ぶりに捕手復帰を果たした阿部の存在だ。左ふくらはぎの張りで12日から一軍を離れ、三軍での調整を経て23日のロッテ戦(東京ドーム)から再合流。代打で登場し、安打こそ放ったものの、この日の東京ドームで行われた全体練習では一部別メニューとなった。

 選択肢としては、阿部を加えた捕手4人制もあるが、指揮官は「慎之助はピンチヒッター。もし(開幕一軍に)入るのであるならば、そこですね、役割は」とした上で、口調を強めて「捕手というポジションは今のところは考えていません」と言い切った。

 もちろん阿部の状態が上向けばマスクをかぶる可能性はある。しかし、現状では捕手争いから大きく後退し、当面は代打の切り札としてベンチ待機となる見込みだ。

 では、負担が大きい捕手ではなく、昨季まで守った一塁再転向の可能性はどうか? 結論から言うと、その構想も今のところ首脳陣にはない。コーチの一人は「一塁コンバート? それはおそらくないよ。去年までと同じことをやるのは、チームにとって前進ではないし、監督もそういう考えのはず。そもそも捕手をやりたいと言ったのは慎之助だし、本人が捕手をあきらめると言わない限りはね」と語った。

 原監督は捕手と並んで一塁を重要視し「守備のフォーメーション、サインプレーを含めて一塁がキーになることが多い。コロコロと代わる人が一塁にいると、チームとしての機能を失うケースがある。岡本を一塁という形からスタートする」と主砲を固定起用する方針を示した。

 捕手、そして一塁でも窮地に立たされた阿部は「どんな形でも貢献できれば」と危機感をあらわにしている。まずは最上のコンディションを維持し、勝負を決める一打を放ち続けるしかなさそうだ。