苦しいやりくりはお手のものということなのだろう。西武・辻発彦監督(60)が続々と離脱する開幕ローテーションの現状を達観している。

 オープン戦最終戦となった24日のDeNA戦(メットライフ)に西武は1―6の黒星。同通算成績を6勝8敗1分けとし29日の開幕ソフトバンク戦(ヤフオク)を目指すことになった。

 ドラフト1位ルーキー・松本の肺炎離脱でこの試合に代役先発した本来中継ぎが主戦場の武隈祥太投手(29)が16日の阪神戦(甲子園=5回1失点)に続き5回3失点(自責2)の“セミ・クオリティースタート”。辻監督は「立ち上がりの2失点はいただけないけど、ゲームを作ってくれた」と即合格点を与え多和田、今井、高橋光、ニールに続く「先発5番手」に武隈を指名した。

 現状の西武は開幕ローテを予定していた6枚のうち内海、榎田、松本の3枚が離脱する緊急事態。しかし指揮官は「苦しー! 先発6人組んでいる中の3人いなくなったんだよ。そりゃあ苦しいやろ」と言いながら、どこかこの状況を楽観しているふしすらあった。

 投手陣の不安定さは別に今始まったことでもない。10年ぶりのリーグ制覇を果たした昨年もブルペンが崩壊した7月以降はその日暮らしの自転車操業。それを埋めて余りある強力打線の援護でチーム防御率最下位4・24のハンディを克服しゴールテープを切った実績があるからだ。

 辻監督は「去年もそう。その中で戦ってきた。この状況で野手陣が頑張ってくれたら、また自信になるかもしれないし、そこで選手の中から、また新しい気持ちが生まれてくるかもしれないし。それがチームだから」とコメント。離脱した3投手はそう遠くない時期に戻る。シーズンの最初に来たこの試練こそチームを前進させるV2への下準備と捉えれば、この緊急事態は後々意味を持ってくる。