なぜか中日・与田剛監督(53)も阪神・藤浪の制球難を心配している。

 12日の阪神とのオープン戦(ナゴヤドーム)では相手先発の藤浪は4回無安打1失点ながら4四死球に暴投、けん制悪送球など“制御不能”に陥った。右打者へ向かって球が抜けてしまうケースが多く、あらかじめ中日打線は左打者だけを並べて警戒した。

 2月24日の阪神戦(北谷)でも藤浪の投球が右打者の阿部の顔面付近へ抜けてきて、あわや危険球となる一幕があった。それを踏まえて左打者9人をズラリと並べたことに、与田監督は「けがの防止? もちろんそれもあるけど、いろいろ考えて。北谷でヘタしたら阿部は死んでましたよ。紙一重だった。もうこの時期はけがも怖いしね」と説明した。

 しかし一方で、開幕直前にもかかわらず与田監督はライバルチームに同情を寄せる。「藤浪も試行錯誤していると思う。敵チームだけど、野球人としては仲間なんでね。まして投手としてあれだけの能力があるんだから。僕なんかはウチにもし藤浪がいたらとか、やっぱり考えてしまう。矢野監督の心境も分かるし、応援する立場でないのは分かっているけど、もがき苦しんでいる部分はね。あんなけん制(悪送球)とか暴投とかを見ていると、本当に悩んでいるんだろうなと思います」

 投手出身だけに藤浪の苦悩は痛いほど分かる。阪神と同様に下位からの巻き返しを期す指揮官として、黙ってはいられなかったようだ。