新生「原巨人」へ、ソフトバンクの王貞治球団会長(78)が熱烈エールだ。ここ5年で4度の日本一というホークスに対し、巨人は4年連続でV逸中。両球団による日本シリーズは2000年の「ONシリーズ」が最後で「巨人を倒しての日本一」を熱望する王会長には歯がゆい日々が続いている。本紙の直撃に「世界の王」が明かした思いとは――。

 王会長は再々登板となる原監督率いる「新生巨人」を迎えてのオープン戦前から胸を高鳴らせていた。本紙の直撃に「巨人は新しい野球をやっている。原監督を迎えたということは巨人がリーグ優勝を目指して“その気になった”ということ。オープン戦とはいえ、新しい巨人との戦いは見ものだよ」と語り、こう続けた。

「我々は常に巨人と日本シリーズを戦って勝つというのをテーマにやってきたし、今もやっている。だから、今年はぜひ巨人に日本シリーズに出てきてもらいたい。そのためにウチも必ずや挑戦権をつかみ取る!」

 王会長は13日に福岡市内で開かれた巨人を応援する九州、山口、沖縄の財界人らでつくる「西部燦燦会」設立式に出席した際も直接対決を強く訴えた。

「巨人軍は我々の世界で言えば本来、常に勝たなくてはいけない。このところちょっと勝ててなかったというのは、ジャイアンツファンの方はもちろん、OBも他のチームで野球をやっている人たちにとっても、こんな寂しいことはない。多くの方、我々も含めてジャイアンツを倒して日本一、これが『本音』なんです。去年、一昨年とホークスは日本一になっていますけど『本当の日本一』というのは達成していないんです。2019年の日本シリーズはジャイアンツとホークスの戦いにしたい」

 何もOBだからとか、巨人監督を“解任”された過去を引きずっているわけではない。「九州のホークスと全国におけるホークス(の知名度やブランド価値)は違うんだよね。それを九州を出てみて感じるんだ」とも話すように、ホークスへの支持は“地域限定”で、全国ではまだまだ巨人のブランド力に及ばないと感じさせられることが多いという。

「巨人に追いつかないといけない。九州からそれを実現するのは難しいことだが、そこに我々はチャレンジしている。エンターテインメントの強化だったり、様々な分野で新しい取り組みもやっている。でも一番は勝つこと。強くないといけない。強さの象徴である巨人に取って代わるくらい強くないとね」

 王会長が福岡にやってきてから25年。巨人との日本シリーズは、ダイエー監督時代の2000年に実現した「ON対決」の一度きり。そこで勝つことはかなわず、ホークスは直近8年で5度の日本一に輝いたが、巨人が日本シリーズになかなか出てこないということもあり、王会長の言う「巨人を倒しての日本一」は達成できていない。その歯がゆさも、古巣への叱咤激励につながっているのだろう。

 古株の球団関係者は王会長の思いをこう補足する。「今でこそ札幌、仙台、福岡とフランチャイズ球団が誕生してコアなファンがそれぞれにいる。それに合わせて巨人の人気が低迷しているというけど、それでも巨人の人気はすごい。地方にいけば熱烈なファンがいるし、アンチもいる。アンチは憎たらしいほど強かった巨人へのある意味リスペクトでもある。その巨人に勝つことの意義を誰よりも分かっているのが会長なんだ」

 巨人との直接対決はいやでも注目を集める。勝つことでさらにインパクトを放つ。「ホークスの王」としての悲願が、古巣への熱烈エールの真意だ。