今年は本気度が違うようだ。昨季未勝利に終わった中日・大野雄大投手(30)がメンタル面の成長を見せている。

 2月26日の巨人との練習試合(那覇)では制球が定まらず4回5安打3失点と崩れたが、それ以来の登板となった7日のDeNAとのオープン戦(ナゴヤ球場)では5回を4安打2失点にまとめた。新球のチェンジアップもさえ、無四球で6奪三振。「前回は中途半端な球が多かったけど、今日はしっかり低めにボールを集めて、試合をつくることができたので良かった」と胸を張った。

 2回一死から宮崎に先制ソロを許したが、続く細川をチェンジアップで空振り三振。これまでは一発を浴びると引きずってしまう傾向があったが「引きずってもしゃあないのでポジティブ思考でマウンドに上がった。その後、抑えられたので引き続きやっていきたい」と前を向く。

 2013年から3年連続2桁勝利の元エースも昨季は7年ぶりに白星なし。今年は2月1日のキャンプインから禁酒を断行した。チームでも一、二を争う酒豪で知られるが「今年はやらないといけない。中日がビールかけするまで、もう飲みません」と誓っている。

 チームメートも大野雄の禁酒には驚きを隠せない。ある選手は「正直、大野がこれまで深酒をしすぎて失態を犯してしまうことが少なくなかったからね。大野が優勝するまで禁酒するなんて、よほどのこと」と言い、チーム関係者も「キャンプ中のどこかで(禁酒を)挫折すると思っていた。まだ続けているとは…」と目を白黒させている。

 チームは6年連続Bクラスで、禁酒を解く“ビールかけ”のハードルはかなり高そうだが、大野雄は「リーグ優勝以外にもCSを突破したり、日本シリーズへ行ったりすれば、そのチャンスはありますから」とニヤリ。秋口に全身で味わうビールは格別なはずだ。