チケット問題に揺れる広島の「幸せだった時代」

2019年03月06日 11時00分

広島市民球場での応援風景(1993年4月)

【赤坂英一 赤ペン!!】広島が今年もまたチケット問題に揺れている。

 入場券を購入するための抽選券をマツダスタジアムの窓口で配った先月25日、約5万人が約1キロの長蛇の列をなし、JRの踏切に人があふれる異例の事態に発展。球団側が警察の指導を受け、約1万人を残して配布を打ち切り、罵声と怒号が飛び交う大騒動となった。

 ネット上には、謝罪を繰り返す球団職員に人々が「土下座せえ、土下座を!」「土下座はせんでええ! ちゃんと抽選券を配りんさい!」と食ってかかる動画が拡散。行列の中には、持病の発作で倒れ、救急車で運ばれた高齢者もいたという。

 抽選の結果は27日に発表され、今月1、2日に当選者へ入場券が販売された。球団は不正転売防止のため、大量購入者には身分証明書の提示、および転売しないとの誓約書に署名を求める対抗策を実施。それでも、販売されて間もなく、メルカリなどにチケットが出品されている。

 そもそも、広島が入場券の販売を先着順制から抽選制に変更したのは、「転売ヤー」と呼ばれる購入者を排除するため。先着順制だった昨年までは、発売日の数日前から窓口の前にテントを張る多数の“業者”が出没。順番を巡ってケンカをしたり、窓口で数百万円の札束を出し、入場券を買うのに長い時間をかけたりしていたからだ。

 しかし、抽選制に切り替えても大混乱となった揚げ句、「転売ヤー」を防ぐことができず。球団では来年に備えて新たな販売方式を検討中だが、今のところ抜本的な解決策は考案されていない。

 広島OBの達川光男氏は、「わしが子供のころ、昔の広島市民球場が本拠地じゃった時代は、試合のある日に行けばすぐに切符が買えたもんじゃ。時代は変わったのう」と話している。広島出身の私が観戦していたころも同様で、当時は練習日になると無料で球場に入ることもできたのだ。いまどきのファンにはとても信じられないだろうが。

 フェンスに駆け寄って選手を呼べば、その場でサインをもらえた。打撃練習で客席に飛び込んだ硬球をひそかに持ち帰り、自分の練習に使って腕を上げた知り合いもいる。

 昔は、そんな子供たちの中から地元の強豪高校に進み、甲子園へ行って、現実にカープに入団する選手が現れたものだ。

 ああいう幸せな時代は二度と来ないのか。私のようなオールドファンには寂しい限りである。