日本ハムの実松一成捕手兼二軍育成コーチ(38)が今季にかける思いを語った。中日・松坂を筆頭にした“松坂世代”の一人である実松も、今季からチーム内では最年長選手に。昨季は杉内(現巨人ファーム投手コーチ)、同僚だった矢野(現チーム統轄本部特命コーチ)ら同世代の選手たちが引退し、世代間では残り少ない現役選手となった。

 同級生らがグラウンドを去る姿に思うところはあるようで「最初は意識しないようにしてたけど、そんなにうまくはいかないよね」と心境を吐露。それでもなお現役を続ける理由は「野球が好き」だからだと言う。

 とはいえ、不安な気持ちもある。「今まで野球しかやってこなかったからね。(野球以外の)世間に出ることが怖いってのもあるかもしれないね」と静かな口調で明かした。

 それでも寂しさはあるが「孤独ではない」とキッパリ。「そこは家族がいるからね。野球を続けるのは家族のためでもあるし、自分のためだけじゃないから」

 プロ野球選手であると同時に一家の大黒柱でもある。「いろいろな思いをさせてる部分もある。なかなか一緒の時間を過ごしてやれないから、より野球を頑張りたいってなるんだろうね」と語る実松は2年前に巨人を戦力外になった。不安を抱える実松家の元に古巣・日本ハムから獲得の吉報が届くと、長男・海翔君はそれまでこらえていた涙を流しながら父親の現役続行を喜んだ。その様子がテレビで放映(TBS系「プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達」)されると大きな反響を呼んだ。

 そのときの様子について実松は「子供なりにいろいろと考えてくれてるんだなって思いましたよね」と、我が子の気遣いに感銘を受けたことを明かすと「あいつらのためにも、一年でも、少しでも長く野球をやりたい」。酸いも甘いも経験したベテラン捕手の原動力は、最愛の家族にあった。