鬼から仏へ 巨人・阿部ビビる若手のために変心

2019年02月27日 14時00分

久しぶりにマスクをかぶった阿部

 背番号10が扇の要に帰ってきた。巨人・阿部慎之助捕手(39)が26日、中日との練習試合(那覇)で1073日ぶりに捕手として先発出場。マスクをかぶったのは3イニングながら疲労感のなかにも充実感を漂わせた。ただ、シーズンを戦い抜く上での課題はプレー以外でも山積み。親子ほども年齢が離れたG投相手に鬼軍曹が「仏(ほとけ)」と化そうとしている。

「キャッチャー・阿部」。打順こそ人生初の9番ながら、どこか懐かしいアナウンスが響くと球場は大歓声に包まれた。

 阿部の先発マスクは2016年3月20日の西武とのオープン戦(東京ドーム)以来。約3年ぶりに体感した激務は身に染みたようだ。3回1失点で降板した先発・山口とともに退いた阿部は「朝からいい緊張感のなかでできました」と充実の汗を拭いながら「この3イニングで背中がつりそう」と報道陣の笑いを誘った。

 やはり負担もやるべきことも多い。守備陣に指示を出し、ワンバウンド投球を瞬時に体で受け止め、内野ゴロが転がれば一塁へカバリング…。イニング間のベンチでは山口と意思疎通を図り、打席が近づけば防具を脱いで準備に入る。打っては1打数1安打の結果に「とにかく、まずケガをしないように与えられたところでしっかりやれれば」と先を見据えた。

 原監督は「見ている限り、非常にハツラツと動いていましたので、私のなかでの印象は良かった」と評しながら「ただ、まだまだ動きにしてもスローイングにしても、精度を上げることは本人も戦っていると思います」と課題も指摘した。

 選手生命に関わるような故障のリスクも承知で、再びマスクをかぶる決断を下したのは阿部本人。捕手一本で勝負をかける決意を示すように、実は心境も大きく変化している。

 阿部が不動の正捕手を務めたころとは投手陣も様変わりし、キャンプにはドラフト1位・高橋優貴(22=八戸学院大)や3年目の大江らバッテリーを組んだことがない若手も多い。

 ただ、捕手復帰を決断して以降、チーム内からは「せっかく慎之助が捕手に戻ったのに若い世代に貴重な経験が伝わらなかったら、あまりにももったいない。『阿部さんのサインには絶対首は振れません』とか『怖い』と言っている若手もいる。『どんどん聞きに行け』と言っても難しいかもしれません。それなら慎之助に変わってもらうしかない。単純ですが、スマイルで話しかけるとか、命令調は禁止にするとか…」といった声が続出。時には超厳しく接することも必要だが、阿部に“ホトケ化”が求められていたわけだ。

 そうした空気を察してか、阿部は「なるべく親しみを感じてもらえるようにしてますね。そうしてあげるようにするしかないよね。『ガンガンこい』と言っても無理でしょ」と告白した。この日の実戦復帰で捕手としての第一歩を踏み出した背番号10の試行錯誤は今後も続く。 

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