【大下剛史・キャンプ点検】再々登板となった巨人の原監督は、ずいぶんと大胆な手を打ってきた。広島からFA移籍した丸の2番起用。今キャンプ初の対外試合となった韓国サムスン戦に始まり、オープン戦になっても1番・吉川尚、2番・丸、3番・坂本勇で固定していることから、ただの話題作りではないことがうかがえる。

 これまでの常識で考えるなら、小細工ができる吉川尚を2番に据えて、1番と3番は丸か坂本勇という並びが妥当なところ。それをあえて2番・丸にしたのは、昨年まで外からジャイアンツの戦いぶりを見ていて、これまでの常識にとらわれていては、チームに劇的な変化を起こすことはできないと考えたからだろう。

 米大リーグでは「2番打者最強説」が唱えられて久しい。これを頭から否定する気はないし、丸の2番起用は大いに結構だ。しかし、ちょっと心配なのは、丸自身が原監督の期待する2番の役割に徹しきれるかという点だ。

 日本では古くから2番という打順はバントや右打ちといった自己犠牲のチーム打撃が求められてきた。今年で30歳の丸だって、子供のころからその考えの下で野球をしている。そんな体に染み付いたものが、ふとした瞬間によみがえってしまうのが2番という打順でもあるのだ。

 1番での起用が多かった私にも経験がある。たまに2番に入って、首脳陣から「普段通りにしてくれればいい」と言われていても、状況によって無意識のうちに「ここはバントをした方がいいんじゃないか」と余計なことを考えてしまうことがあった。

 丸が2番でスタメン起用されたのは2015年が最後で、長らく3番を務めてきた。思惑通りに打線が機能しなかった場合でも、原監督は丸を2番で起用し続けるのかを含めて興味は尽きない。(本紙専属評論家)