原巨人の5年ぶりV奪還のカギを握る新守護神候補ライアン・クック投手(31=前マリナーズ)が本紙のインタビューに応じ、新天地にかける思いを語った。最速155キロの助っ人右腕は将来的なメジャー挑戦の意向を示しているエース・菅野智之投手(29)についても言及。メジャー登板236試合を誇り、2012年には米球宴の舞台も踏んだ男の“菅野評”は――。
――日本式のキャンプにはもう慣れたのか
クック 今のところみんな親身になっていろいろ教えてくれるし自分の腕、肩の状態もどんどん上がっている。
――ここまで接した原監督の印象は
クック 穏やかで寛大。それでいて勝負には厳しいという様子が伝わってくる。みんなが厳しい雰囲気の中でも、楽しんでやれるようにという配慮もしてくれている。
――自身の投球スタイルは
クック 持ち球はフォーシーム、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ。自分は基本、ゴロピッチャーだ。日本でも願わくば米国同様、ゴロで打ち取れたらと思う。
――メジャー236試合に登板し被本塁打はわずか17本。その理由は
クック ツーシームで基本的にゴロを打たせようと思って投げているからかな。当然、強打者はゴロを打とうとしていないのでそれがうまくいっているのかも。あくまで自分の分析だが。
――16年に右ヒジのトミー・ジョン手術を経験
クック 肉体的よりも精神的につらかった。ほぼ2年野球ができなかった。離れてみて初めてどれだけ野球が楽しいのか、どれだけ自分が野球をしたいのかを実感した。
――支えてくれたのは家族
クック その当時は婚約者だった妻リンジー(昨年12月に結婚)の存在が大きかった。手術を受ける前から経験者からは「すごくつらいよ」と言われていた。それを聞いていたのか彼女は「手術した人はみんなこの苦しさに打ち勝って乗り越えてきた」と言って励ましてくれた。彼女は同じ町出身で同い年の幼なじみなんだ。
――メジャーで同僚だった上原、岩隈からアドバイスは
クック 直接的に上原さん、岩隈さんから日本の野球はこうだよというのはなかった。ただ国が違っても基本的に野球は野球。今まで自分がやってきたことをあまりいじらず、いい状態を維持したい。もちろん変えなきゃいけないと思ったら柔軟に対応する。
――巨人で3年間を過ごしたマイコラス(カージナルス)が昨季ナ・リーグ最多勝。影響はあった
クック 正直、マイコラスのことは何も調べていないんだ。ただアリゾナの自主トレ先でサファテ(ソフトバンク)、バーネット(元ヤクルト)と知り合えた。彼らは日本で長く過ごしたので情報をいろいろ聞いたし日本の文化をリスペクトするよう教わったよ。
――日本野球から一番、取り入れたいことは
クック 新しい球種だったり今持っている球種の握りをちょっと変えたり。自分が良くなるためなら何でも吸収する。菅野が投げているのを見て自分と違う握りで同じ球種を投げていた。日本球界でトップレベルの選手から吸収できるものは吸収したい。
――その菅野とブルペンで隣で投げる機会もあった。2年連続沢村賞投手の印象は
クック 原監督から「菅野の投球を見てごらん」と言われたんだ。自分と同じスライダーでも握りが違うので興味深かった。彼は投げようとしている球を思った通りに投げられていた。見ているだけで楽しかった。
――ズバリ、菅野はメジャーで通用するのか
クック 間違いなくメジャーで活躍できると思う。まだ細かいところは分からないけど、普段からの向上心の強さとかブルペンの内容を見て、実戦を見なくともメジャーで通用する投手だと思った。
――具体的に菅野のどの部分に向上心を感じたのか
クック 例えば(投手陣が)守備練習をやっている時に何となく雰囲気が和気あいあいとしている中でも彼一人は真面目に取り組んでいる。ピッチングの様子もいつも自分に妥協していない。ものすごく向上心を感じたよ。
――自分も再びメジャーに復帰したいか
クック 日本にいる間に吸収できるものは吸収したい。チームに必要とされて貢献できるところなら米国でもどこでも少しでも長くプレーをしたい。
――2020年には東京五輪がある。現状ではメジャー選手の出場は難しいが
クック 興味深い。来年、メジャーじゃなければ現実的に考えてみたい。
――ちなみに料理は得意
クック ハハハッ。自分で料理をするのはバーベキューの時、鉄板の上でチキンやコーンを焼く時だけだよ(笑い)。
ライアン・クック 米国・カリフォルニア州出身の31歳。ダイヤモンドバックス(2011年)、アスレチックス(12~15年)、レッドソックス(15年)、マリナーズ(18年)でプレー。メジャー236試合で防御率3.58、15勝13敗、17セーブ、58ホールド。12年にはオールスター戦にも出場。直球の最速は155キロ。188センチ、100キロ。