松坂負傷を異例発表の裏 サービス中に起きた“不幸な事故”

2019年02月12日 16時30分

まさかの理由で右肩を痛めてしまった松坂

 平成の怪物にアクシデント発生だ。中日は11日、松坂大輔投手(38)が数日前にファンと接触した際に右腕を引かれ、右肩の違和感を訴えているため、しばらくノースロー調整を続けると発表した。しかし、こうした事案が球団から発表されるのは極めて異例のことで、周囲には波紋が広がっている。いったい事件の背景には何があったのか。

 この日、一軍の全体練習に参加し、ランニングや打撃練習などは通常通りにこなした松坂だが、その前のウオーミングアップ後のキャッチボールを回避。その際、松坂と深刻そうな様子で話し合った与田監督は「そこで説明を受けた。ここで松坂を責めるつもりは当然ない。僕からは一日でも早く治すのにどういう形がいいのかというのをしっかりチェックしていかないと。痛手? そりゃそうですよ。松坂がこの状態で、まったく問題ないというのはあり得ない」と苦渋の表情で話した。

 ファンとの触れ合いを大切にしてきた松坂の身に、ファンサービス中に起きてしまった“不幸な事故”。まさに松坂の思いが裏目に出てしまった格好だ。

 というのも、今キャンプでの松坂は選手ロッカーから室内練習場や陸上競技場などへの移動は自転車に乗っていた。昨年は車移動だったものを、よりファンとの距離を縮めるため…。しかし、アクシデント後は車での移動に戻さざるを得なくなってしまった。結果的に、ファンとの触れ合いが制限されてしまうことに松坂は心を痛めているという。

 では、この事態を招いたファンはどんな人物なのか。松坂が故障した瞬間について与田監督は「そこは本人も分からないと思う。たくさんの方に囲まれている中なので具体的なことは…」と言いつつも「僕も現時点でここ(北谷球場)に来た時に、前に行こうとする時に後ろから引っ張られたことがあるんで。それをグンと引っ張られるだけで手を持っていかれることもあるから」と、同一犯かどうかはともかく、同じような体験をしたという。

 また、チーム関係者は「中日だけでなく、あちこちのキャンプ地で、選手を強引に引っ張ったりして、その様子を動画に撮ってネットに上げたりする過激なファンがいるという情報がある」と証言。今回がそうした過激なファンの仕業なのかは判明していないが、選手生命を左右しかねない危険な行為であり、意図的にやっているとしたら、それはもはやファンではない。そして、アクシデントの原因を球団が公表したのも異例だが…。この点については、松坂のノースロー調整が続いていることが、周囲に悪影響を与えるのではないか、との懸念があるからだという。

「松坂はここまでブルペンも入ってないし、キャッチボールもやらなくなってしまった。そこはなんでノースローなのか、ちゃんと発表しないと、あらぬ臆測を招いてしまう。投げられるのにさぼっているのではないかとかね」(チーム関係者)

 松坂はソフトバンク時代に故障で投げることができず、バッシングを受けた経験がある。それだけに、事情を知らない周囲から今回もバッシングを浴びてしまうことにもなりかねない…。松坂の名誉を守るためにも、こうした声をシャットアウトする意味合いがあったようだ。

 今後の対策について、与田監督は「もちろん起きてしまったことに関しては、今後、他の選手への防止策を考えなくてはいけないのは当然。だからといって、ファンの方と一切、接触を禁止するということも、当然ファンの方もそんなことを求めていないわけだし、選手自身も何とかサインをしてあげたいという中で起こったことなので。とにかく事故のないようにしていくしかない」と葛藤している。

 その上で松坂の胸中についても「本人の中ではうまく治るんじゃないか、痛みが消えるんじゃないかと。そんなに厳しく考えてなかったと思うけど、数日間、松坂本人も悩んだでしょうから、それもかわいそうだと思う」とおもんぱかった。

 松坂は報道陣の問いかけに無言で宿舎に戻った。右肩はこれまで長い間苦しめられ続けた“因縁の患部”でもあるだけに、その状態が気になるところだ。