ソフトバンクの柳田悠岐外野手(30)が5日、侍ジャパン前監督の小久保裕紀氏から目標本塁打数の“上方修正”を指示された。柳田が今季掲げる目標には、小久保氏だけではなく王球団会長も納得していないという。いずれも期待が大きいからこそ。鷹の主砲は両レジェンドが提示した新たなハードルを越えられるか。

 今季の柳田は「45本塁打」を目標に掲げている。もともとは40本塁打を口にしたが、背番号9を託された小久保氏から昨年末に「オレの記録(44本塁打)を抜いたら何か買ったる!」とエールを送られたためだ。

 これ自体も「結構きつい数字だと思う」と柳田は慎重だが、5日にキャンプ地に来た小久保氏から“上方修正”を宣告された。「(ハードルが)上がってました。最悪です。テラスがないとキツイですよ」と苦笑いを浮かべた。

 現在のヤフオクドームにはフェンスの手前にホームランテラスが存在する。ただ、小久保氏が44本塁打を放った2001年にはなかった。あくまでもカウントするのはオーバーフェンスのみ。ロッテの本拠地・ZOZOマリンに新設される「ホームランラグーン」への一発はオーケーで、現役時代から広い福岡ドーム(当時)での本塁打にこだわった小久保氏らしい条件だ。

 もともと柳田は本塁打の飛距離が圧倒的で、テラスへの一発は少ない。昨季も36本のうち3本のみ。ノルマ増に「(達成は)無理でしょ」と口にしつつも、期待に応えるべく「ウエートをやって、力をつけて、進化して。45本を目指して頑張ります」と誓った。

 小久保氏だけではない。もう一人、目標の“上方修正”を口にしたのが王球団会長だった。柳田の今季の目標が45本塁打と知ると「なんだい?(数字が)中途半端だな」と疑問顔。その意図を聞いて「小久保を抜きたかったら『50!』と言わなきゃ」とニッコリ笑いながら猛ハッパだ。

 かねて柳田のさらなる本格化に高い期待をしており、1年前には「ここから5年は彼の天下ですよ」と話したほど。「去年は何本だっけ? 36本か。じゃあ、そう設定しているということだな」とうなずいたものの、その力量からすれば、さらなる高みを目指せるとの思いも強い。

 現役時代に本塁打にこだわってきた両者だからこそ、さらなる可能性を秘めている柳田にかける期待は大きい。45本塁打でもかなりの数字で、柳田は慎重な姿勢だが、両レジェンドの期待に応えられるか。