長野「新夜王」伝説 宮崎・日南の街を沸かせた“男気”

2019年02月02日 11時00分

背番号5のユニホームを手に球場入りする長野

 新たな伝説の誕生だ。プロ野球は1日、沖縄、宮崎などでキャンプイン(米アリゾナの日本ハム一軍は日本時間2日から)。注目は何といっても巨人へFA移籍した丸佳浩外野手(29)と、その人的補償で広島に移籍した長野久義外野手(34)だ。ひと足先にキャンプ地入りし、先乗り組の自主トレに合流していた長野だが、本紙は若手野手陣が開催した歓迎会の模様をキャッチ。大いに盛り上がった会のラストには驚がくのひとコマが…。身も心も赤く染めてカープ入りした男は早速、宮崎・日南の街を沸かせている。

 いよいよ赤チョーノの新たな野球人生がスタートした。リーグ4連覇と35年ぶりの日本一を目指す広島は、31日に緒方監督をはじめコーチ陣、主力の面々が宮崎入り。日南市内の宿舎では全体ミーティングを行い、指揮官は「ベテラン、経験のある選手が必ずポジションを保証されるかというと、そういうチームじゃない。若手であろうとベテラン、中堅であろうと同じ。長野もそういう考えの中でやってほしい」と報道陣を前に所信表明した。

 リーグ3連覇中ながら心配な要素はある。昨年限りで精神的支柱だった新井貴浩氏が引退。2年連続でリーグMVPを受賞した丸はライバルの巨人にFA移籍した。そのマイナス面を補って余りあるのが巨人からFAの人的補償でやってきた長野だ。緒方監督は過度なプレッシャーを与えないように気遣ってか「新井の代わりをやれっていうわけじゃない」としつつも「経験のある選手の言葉は(若手にとって)いい勉強になる」と長野効果に期待を寄せる。

 注目の“主役”は、新天地でのキャンプを前に精神集中しているのか、31日は自室にこもって報道陣の前には姿を見せなかった。しかし、そこは銀座、六本木、西麻布で鳴らした“夜王”だ。実は日南滞在たった2日の間に、早くもデカい足跡を残していたことが本紙の取材で判明した。

 30日のことだ。先乗り自主トレに参加していた若手野手陣により、長野の歓迎会が宿舎近くのお好み焼き店で開かれた。参加したメンバーによれば、会は大いに盛り上がったという。参加者では長野が最年長だったが、飲食代は1歳年下の松山が男気を見せて全額支払った。

 ここまでなら普通の流れだが、後輩にごちそうになったまま長野が引き下がるわけがない。腹を満たした十数人のメンバーは再び日南の夜に飛び出し、油津(あぶらつ)の街中にひっそりたたずむスナックで2回戦をスタート。すると、今度こそはと長野が大盤振る舞い。新たな“庭”へのあいさつ代わりでもあったのだろう。「めったに出ないシャンパンが空いて…」(スナックのママ)。会計はウン万円だったが、長野はその“10倍”にあたる数十万円の札束を置き、風のように去っていったという。

 カープがキャンプを張る油津は、宮崎県内でも「リーズナブルに飲める街」として有名だ。千円札を数枚握り締めれば、たいてい楽しい酒にありつくことができる。噂にたがわぬ長野の“夜王”ぶりに、古株のカープ関係者も「聞いてはいたけれど、さすがだねえ」と驚きを隠せなかった。

 新天地の夜の街に記念すべき第一歩をしるした長野。スターを迎えた小さな街は昼も沸いている。地元住民は「大きな声では言えませんが、日南はかなり隠れ巨人ファンが昔から多いんです」と言い「長野選手がカープに来てくれて『これで思い切って応援できる』とみんな喜んでいます。商店街も歩いていたようで、目撃した人はキャアキャア言っていましたよ」と明かす。

 巨人時代に名をとどろかせた宮崎市内のネオン街にも後ろ髪を引かれる思いがあっても不思議ではない。日南市内からはタクシーを飛ばしても約1時間の距離で、その気になれば足を延ばすことも容易だ。しかし、長野は周囲に「僕はもうカープの一員。みっちり練習したいし、この街にお世話になります」と宣言しているというから頼もしい。やる気に燃える赤ヘルの背番号5が、今年はどんな伝説を作ってくれるのか。本紙も楽しみに追っていく。