迷うことなく“丸スタイル”を貫け――。広島からFA移籍した巨人・丸佳浩外野手(29)に金言が送られた。声の主は内田巡回打撃コーチだ。広島時代に打撃統括コーチとして若き日の丸を育成した名伯楽が、同じYGユニホームを着ることになった教え子に言及。巨大補強の目玉選手として何かと重圧がのしかかる中、人気球団で戦い抜いていくための心構えをアドバイスした。

 丸は25日、キャンプの荷物出しと自主トレのためジャイアンツ球場を訪れた。グラウンドで遠投を行うと、室内練習場ではマシン相手に力強いフリー打撃を披露。2年連続でリーグMVPに輝いた片鱗を見せつけた。

「まず今年はキャンプ中、シーズン中もけがで戦列を離れるようなことがないようにいきたい。でもけがを恐れてやるのも違うと思うし、悔いの残らないようにしっかりとやっていく」

 新天地で迎えるキャンプに「球場が変わることとか、チームやキャンプの雰囲気とかもどうなっているか分からないですから。そこはしっかり早く慣れるじゃないけど、溶け込めたらいい。毎年この時期は…。今年はどうなるんだろうというワクワク感と、不安な気持ちが交差するような今の時期です」と微妙な心情を吐露した。

 そんな丸に温かいまなざしを向けているのが内田コーチだ。巨人と広島でそれぞれ長きにわたって打撃コーチを務め、数々の強打者を育成してきた名指導者。丸も高卒ルーキーだった2008年から若手時代に打撃の極意について手ほどきを受けている。

 その教え子が広島で大活躍したように新天地でも大暴れできるのか。内田コーチは「これはもう本人でしょう」と前置きしつつ「派手にガンガンとしゃしゃり出て(人に)言う感じでもないし、寡黙でやるタイプ。だから今の感じでいいと思うよ。何も変わることはない」と補足した。

 これまで巨人にはFAで加入し、球史に名を残した大物が複数いる。しかし一方で巨人特有の重圧に、期待通りの成績を挙げられなかった選手も少なくない。だからこそ内田コーチは巨人だからと無理やりにヨソ行きの姿勢になるのではなく“丸スタイル”を貫くべきと言い切る。

「ここは3打数1安打で2回チャンスで打てなくて負けたら叩かれるチーム。でもそれに固執するんじゃなくて、硬くならないで自分のものを十分に出せばいい。丸という男は、まず自分のことをチームにいかに貢献できるかっていうのを把握している。だから、いろいろなことをすると思うよ。進塁打や、追い込まれたりしながらの粘りだとかもね。まあ『(ジャイアンツに)習うより慣れろ』だね」

 名伯楽であり、師匠でもある内田コーチの言葉は、きっと丸の胸に響くはずだ。