巨人は16日、ジャイアンツ球場でコーチ会議を開き、春季キャンプに向けた概要を決定した。そのなかで、原辰徳監督(60)は宮崎キャンプ3日目の2月3日にヤングGを主体とした「一軍VS二軍」の紅白戦を実施するとサプライズ発表。異例の早さでの実戦投入には、指揮官の若手戦力を見極めたい考えとチーム内競争をあおる狙いがあるが、その“効果”はグラウンド内だけに収まらないようだ。

 この日のG球場には一軍とファーム首脳陣が一堂に会し、2月1日から始まるキャンプへの方針を確認。キャンプメンバーの振り分けは後日行われるスタッフミーティングで最終決定するが、FA加入した丸と炭谷、新助っ人のビヤヌエバやクックら新戦力6人は全員が一軍スタート。「体調不良」の影響で来日のメドが立っていないマシソン、左ヒザの手術明けの上原はファームからの調整となる見込みだ。

 そんななかで、原監督は異例の早さで実戦を行うことを明かした。「2月3日に一軍、ファームの若手中心の紅白戦をやります。一軍、ファームからスタートしたメンバーと“ヤングオールスターズ”とやると」

 2004年に就任1年目の中日・落合監督がキャンプ初日の2月1日に紅白戦を行った例はあるが、球界の“常識”では選手たちが体をつくり上げていく時期であり極めて異例。ケガのリスクも高いが指揮官の思惑はどこにあるのか。

 原監督は「今の選手たちは仕上がりが非常に早いし、そこまでに仕上げてこれている若手の人たちというのは、すごく興味がある。ベテラン、中堅…そのへんは慌てることはないけれど。全体を見ておきたい。全体を把握するという点では、3日にちょっと腕試しをしてごらんというところですね」と明かした。

 もちろん、選手たちにとっては2次キャンプ地の沖縄行きの切符をかけた戦いでもあり、指揮官は「メンバーの再編という形になる」とキッパリ。若手の見極めとサバイバルレースの激化が主眼と言えそうだ。

 では、現場の反応はどうか。早期の実戦には宮本投手総合コーチは「ドキッとしました」と素直な感想も漏らしたが、ファーム首脳陣からは「ファームからすれば『よっしゃ!』ですよ。一軍監督に若い選手を直接見てもらえる機会はそう多くない。補強がすごかったので若手は不安もあったでしょうが『俺たちのことも見てくれているんだな』『使おうとしてくれているんだな』と意気に感じるのでは」との声が上がった。

 一方、球団内からも「2月3日はキャンプ最初の日曜日。同じ宮崎でほかの球団もキャンプをやっているなかで、興行的にもありがたいことです」との意見も。宮崎県内では広島や西武、オリックスもキャンプを行い、中でも地元のソフトバンクに客足が流れ、近年の巨人は集客面で“苦戦”している現実もある。異例の早期実戦は、グラウンドレベルだけにとどまらない波及効果もありそうだ。