巨人・村田修一ファーム打撃コーチ(37)が9日、広島移籍が決まった長野久義外野手(34)について初めて胸中を明かした。

「ルールはルールですけど、寂しさはあります。(巨人から)1年離れて(コーチとして再び)ユニホームを着られるのは光栄ですけど、チョーさんとか内海がいないのは寂しい…」

 長野は日大の後輩であり、横浜(現DeNA)から巨人にFA移籍した2012年からはともに中心選手として3連覇に貢献。オフの自主トレではグアムで寝食をともにした。

 さらに、17年オフ、巨人から自由契約となった村田コーチはNPB球団からのオファーを待ちながらBC栃木入団。その際、長野らが野球道具などを支援してくれた。そして、巨人の主催試合で村田コーチの“引退セレモニー”が行われた昨年9月28日のDeNA戦(東京ドーム)では長野が劇的なサヨナラ本塁打。お立ち台で「村田さん、見てますか~?」と絶叫し、これ以上ない形で花を添えてくれた。

 ただ、村田コーチは前向きな言葉で長野の背中を押した。

「(長野は)NPBのユニホームを着て野球をできるわけですから。僕にはそのチャンスがなかった。戦力として求められるところで野球ができるわけですから。どこで野球をするというより、野球ができる喜びを感じてほしい」

 結果的に村田コーチにはNPBからオファーが届かず、自ら現役生活に終止符を打った。しかし、長野はプロの世界で野球を続けられる。華やかな舞台と独立リーグを経験してきたからこそ、長野から電話で移籍の連絡を受けた際にはこう話したという。

「人として、野球人として、器が大きくなるように勉強してくればいいよ」

 長野は広島、村田コーチは今季からファームの指導者となり、物理的な距離は広がる。それでも「元気な姿で、赤い帽子をかぶっているのを見られたらいいな」と村田コーチ。固く結ばれた絆は変わらない。