3冠王に最も近い男・ソフトバンク柳田 達成のカギは“落合流”の極意

2018年12月31日 16時30分

達川氏(右)が語った落合氏との逸話で柳田は来季覚醒するか

 3冠王に最も近い男――。近年、そう形容されるのはソフトバンク・柳田だ。今季は打率3割5分2厘で自身2度目の首位打者に輝き、リーグ2位の36本塁打、同4位の102打点をマークし、新シーズン以降の偉業達成に改めて大きな期待を抱かせた。鷹の大砲はNPB史上8人目のトリプルクラウン達成者になれるのか。「3冠王」獲得の鍵は“落合流”にある。

 今季までソフトバンクのヘッドコーチを務めた達川光男氏は退任の際、母校・広島商の後輩である柳田をこう評した。「アイツは本物の天才じゃった。いずれ3冠王を取ると思うよ」。ただ、こうも付け加えた。「本人が気づくか…じゃがな」

 後輩に実践してほしい“トリプルクラウンの極意”がある。名捕手だった達川氏はNPB史上最多3度の3冠王に輝いた落合博満氏と現役時代にマスク越しに交わしたやり取りを今も鮮明に覚えている。「本人が言うとったんよ。『3冠王を取ろうと思ったら、いかに経験の浅い投手を打つか、勝敗が決した後の打席を大事にするか』と。『だからオレは絶対に手加減しない』とな。だから、最後まで集中力を切らさんかったし、1打席も無駄にせんかったよね」

 この逸話こそが、柳田に気づいてほしいことだった。「アイツに活を入れたこともあったんじゃが、試合が決まるとすぐ集中が切れるんよ。そういう“もったいない打席”を減らせば、間違いなくもっとすごい数字が残るんじゃがな」(達川氏)

 試合の大勢が決まった状況で、リリーフエースや力のある投手が出てくることは少ない。3冠王を目指すなら、いかにモチベーションと集中力を保ち、これまで“捨ててきた”打席で数字を伸ばせるか。

「3冠王なんて考えたこともない」と無頓着ながらも、先輩からのありがたい指摘を知ってか知らずか、実は柳田本人も課題には気づいている。「数字的にはもっと出るのかなとは思っています。ただ、それは最後まで集中力が続けば…っすね。僕の場合は試合が決まるとなかなか続かない。長いシーズン、全部に気を張るとパンクする。そこのあんばいっすよね。集中力は自分の中でテーマだと思います」。柳田本人も“もったいない打席”があるという自覚はある。

 肉体的にも技術的にもピークを迎えつつある鷹の大砲。“落合流”の極意を実践した時に、夢の3冠王に手が届くのかもしれない。