ソフトバンク・千賀滉大投手(25)が28日、ヤフオクドームで契約更改交渉に臨み、3500万円アップの1億6000万円+出来高でサインした。今季は右ヒジ周辺の違和感に悩まされ続け規定投球回に達しなかったが、3年連続2桁勝利となる13勝(7敗)をマーク。来季は「先発の1番手で常に名前が挙がるようにしたい」と意気込んだ。

 この日は交渉の席で昨年12月に続き、ポスティングシステムを利用しての早期メジャー挑戦希望を改めて表明した。密な話し合いは行われなかったが、年明け1月に球団上層部との話し合いの場を改めて設定することを双方で正式に取り決めた。

 千賀が海外フリーエージェント(FA)権を取得し、メジャーへ挑戦できるのは最短でも5年後。ソフトバンクは球団方針としてポスティング移籍を容認しておらず、これまで前例すらない。

 千賀は球団側がポスティングを容認しない理由について、大まかな説明を受けたといい「まず、球団として利益がない。そして、これまで引き留めてきた選手に対する平等性がない、ということだった」と明かし「その考えについてはすごく理解している」と語った。

 その上で自身が強くポスティングでのメジャー移籍を訴える理由について説明。「ソフトバンクで育成から支配下に上がって、一軍でプレーして、日本一を何度も経験させてもらった。上のレベルを目指すためにメジャーの舞台を設定することで、もう一つ上のレベルにいきたい」と意図を語った。

 育成ドラフトで入団し一人前に育ててくれた球団への愛着はもちろんある。だが、2017年に日本代表としてWBCを経験。「人生で一番アドレナリンが出た。一度あの舞台に立ち、あの興奮を覚えたら忘れられない。パワーもスピードも見たことない世界だった。プロとして、そういう舞台で戦いたいと思うのは自然なこと」という気持ちは抑えられなかった。

「世間からは『生意気だ』とか『アイツ何言ってるんだ』となるかもしれないけど、口にすることで自分に(いい意味で)プレッシャーをかけたいし、実現するために頑張れると思う」と前を向いた千賀。思いの丈を伝え終えると「ここからがスタートです」と、トレーニングウエアに着替えて球場を去った。

(金額は推定)